閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

165 地口

 辞書的な意味…定義は以下の通り。

 

・しゃれの一種で語呂合せ。

・世間でよく使われることわざや成句などに発音の似通った語句を当てて作りかえる言語遊戯。

・諺や俗語などに同音または発音の似た語を当て,意味の違った文句を作るしゃれ。

・成語に語呂を合わせたことばのしゃれ。

・ことわざや成句などをもじって作った語呂合わせの文句。

・江戸の言語遊戯の一種。庶民の口頭戯としての秀句の一種で、上方でいう「口合い」と同じである。

 

 三省堂の『新明解国語辞典』の確か第三版で“洒落”の用例に“下手な洒落はやめなしやれ”といふのがあつたのを思ひ出した(第四版でこの用例は記載されなかつた筈だ)のだが、それは別の話。

 併しこの定義は誤りではないにしても、正確とも呼びにくい。画像はその一例で、絵と記号と文字が同列に扱はれてゐる。今風に見立てれば絵文字を多用してゐるやうなもので、辞書的な洒落の範疇でないのは明らかでせう。

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 我が賢明なる讀者諸嬢諸氏にはどう讀むか、直ぐに判ると思ふが、念の為に云へばこれは“カマワヌ”で、右下で切れてゐる文字も含めれば、“カマワヌ ハイレ”となる。

 呑み屋の提灯。

 ぢやあ遠慮なくと思つたが、これを撮つた時はまだ、暖簾が出てゐなかつた。だから品書きが地口で書かれてゐるかどうかは、確かめることが出來なかつた。残念だなあ。