閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

212 トップ・スリー

◾️鮨種

 はまち、鮪(赤身)、烏賊。

◾️おでん

 大根、玉子、厚揚げ。

◾️お漬物

 野沢菜、白菜、沢庵。

◾️お味噌汁の種

 溶き卵、豆腐、油揚げ。

◾️もつ焼き

 はらみ、レヴァ、かしら。

◾️水炊き(乃至寄せ鍋)

 豆腐、豚肉、菠薐草。

◾️天麩羅種

 鱚、穴子、茄子。

◾️立ち喰ひ蕎麦の種

 たぬき、掻き揚げ、月見。

◾️洋食

 ビーフシチュー、ハンバーグ、海老フライ。

◾️居酒屋のおつまみ

 鶏の唐揚げ、ほつけの塩焼き、烏賊の沖漬け。

◾️ビジネスホテルの朝バイキング

 ソーセイジ、スクランブルド・エグズ、柴漬け。

◾️カレー・ライスに適ふ飲みもの

 氷水、カフェ・オ・レ、林檎の發泡酒。

◾️試してみたい組合せ

 露國のカヴィアとウォトカ、佛國の牡蠣とシャブリ、伊太利のパスタと葡萄酒。


 外にも挙げ出したら切りがなく、食べもの飲みものに限らなければ、たとへば

・プロセスの技

 全盛期ジャイアント馬場のランニング・ネックブリーカー・ドロップ、若手の頃のジャンボ鶴田のジャーマン・スープレックス・ホールド、スタン・ハンセンのウェスタン・ラリアット

・特撮に登場する戦闘機

 ウルトラホーク1号、コロニアル・ヴァイパー、X‐ウィング・ファイター(ジェットビートルは残念ながら“戦闘機”ではないので除外)

・探偵/ミステリ小説

 クリスティの『アクロイド殺害事件』、クィーンの『Yの悲劇』、アイリッシュの『幻の女』

司馬遼太郎の長篇

 『国盗り物語』、『空海の風景』、『坂の上の雲

・怪獸映画の敵役

 レギオンキングギドラガイガン

・ライカ

 Ⅲf、M3、M6。

ニコン

 F3、NewFM2、EM。

サザンオールスターズの唄

 『Oh! クラウディア』、『Dear John』、『死体置場でロマンスを』

 まだまだ續けてもいいけれど、このくらゐにしておきませう。この云はば三幅対…トップ・スリー方式はどうやら西洋的な感覚らしい。ほら“父と子と聖霊”とか“金銀銅メダル”とかのあれ。我われの伝統は四者並立で、青竜朱雀白虎玄武を挙げればいい。中國だよそれはといふ指摘は正しいが、我が國がさういふのを取り込んだのもまた、事實であると切返しておかう。但し三幅対と云つても並立ではなく、順位がある程度にしてもはつきりしてゐる。實際ここまで書き出した“三大何々”にも、微かに(また確かに)わたしの中で順位はある。それに正直なところ、さういふ順位を感じながらの方が書いても樂に感じもする。比較し易いからだらうか。だらうな。オンリー・ワンだとそれ以外は全部否定になる…なりかねず、ベスト・テンならそもそも挙げるのが面倒になる。三つくらゐが褒めたりくさしたり、その辺りの具合が宜しい。異論反論疑念も出し易いのではないか。そこで気になるのは、前述のトップ・スリーが我が親愛なる讀者諸嬢諸氏にとつてどうなのかといふことで、思はれるところを聞きたくもあり、そつとしてもらひたくもある。