閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

437 蕎麦を掻く

蕎麦掻きといふ食べものがある。取り急いでWikipediaを見ると 蕎麦粉を熱湯でこねて餅状にした食べ物。 蕎麦粉を使った初期の料理であり、蕎麦切りが広がっている現在でも、蕎麦屋で酒のつまみとするなど広く食されている。「かいもち」ともいう。 と書いて…

436 伝統重んずべし

いきなり、引用。 なほ行き行きて、武藏野の國と下つ総の國との中に、いと大きなる河あり。それをすみだ河といふ。その河のほとりにむれゐて思ひやれば、限りなく遠くも来にけるかなとわびあへるに、渡守、はや舟に乗れ、日も暮れぬ、といふに、乗りてわたら…

435 不要不急の八高線

この稿を書いてゐる今、巷間では肺炎の噂が八釜しい。こちらは元が極端な出無精だから、大して気に留めてはゐないのだが、世間が 「不要不急の外出を止めて、マスクをして、嗽と手洗ひは念入りに」 と騒ぐ聲を耳にすると、自分の出無精を棚に置いて、部屋に押…

434 ばら寿司について

仄聞するところだと、岡山のばら寿司はたいへん豪華だといふ。その昔お殿様が 「倹約をせンならンけの。町民の食事は一汁一菜ぢや」 と御触れを出し、それで町民輩が 「一菜なら、お咎めは受けンのぢやらう」 耳打ちしあつたかどうかは兎も角、ばら寿司の具に凝…

433 ハムは肴になるものか

不意にハムと生ハムはどうちがふのか、気になつた。どちらも食べた事はあるし、生ハムは生といふ割に生肉ではないのも知つてゐるが、なら何が異なるのか、そこまで考へた記憶が無い。明宝ハムの[生ハムとハムの違い]から抜粋すると https://www.meihoham.co.…

432 これもまた物慾の

手元にトキナーのレンズがある。 SZ-X28-105ミリ(f3.5-4.8) マニュアル・フォーカスのKバヨネット・マウント。 いつどこで幾らで…そもそも何故買つたのか、さつぱり覚えてゐない。銀塩カメラの主力は二台のリコーで、リコーの一眼レフはKバヨネット・マウン…

431 ハポンなチリー

辞書でチリー・ソースを調べると、chili sauceと綴る。ざつと"トマトに唐辛子などの香辛料、塩や砂糖、酢、更に玉葱や大蒜やセロリーを加へ煮詰めた"ソース。 ここで云ふ唐辛子(序でながらナス科の植物。トマトやタバコの親戚でもあるさうです。知らなかつた…

430 ミンネザングで詠ふ餅

頴娃君はわたしの友人であり、醉つぱらひ仲間であり、ニューナンブの構成員でもあり、『プラトンの洞窟』といふウェブログを持つてゐる。その中の[タンホイザー]に https://lapislazuli.exblog.jp/28842024/ 梅まつりの時だけは、お餅は肴に。 といふ一文が…

429 不便な食堂車

内田百閒や吉田健一の随筆を讀むと、屡々食堂車といふ言葉を目にする。いちいち引用はしない。今は無いらしい。お座敷列車などの名前で走つてはゐるから、無いと断言するのは極端かも知れないが、当り前に運行してゐる列車には連結されてゐないから、滅んだ…

428 ジェンキンス・エグス

煎り卵とスクランブルド・エグスでは、頭に浮ぶ姿が随分と異なる。前者は塩胡椒で堅めに炒めた感じで、後者だとバタやクリームでふはりと仕立てた感じ。それぞれは定義といふか、作り方で呼び名もちがつてくるのだらうと思ふ。『宇宙の戦士』(ロバート・A・…

427 赤羽ガンマン

先づ地名について[日本大百科全書]から引くと ◾️赤羽(アカバネ) 東京都北区の北部(中略)、江戸時代は赤羽根と記し、この一帯に赤土が多く赤埴といわれたことが地名の由来ともいう(中略)江戸時代は岩槻街道(日光御成街道)筋の寒村であったが、千八百八十七年(…

426 棒喰ひ

出してもらへれば食べるとして、自分から積極的には食べない…さういふ食べものの代表格に海老を挙げたい。積極的に食べないだけで、口にしたら旨いとは思ふ。例外は早鮓やお刺身の甘海老くらゐか。併し無いなら無いで平気だから、海老全般に冷淡なのだらう。…

425 消費の一種

どうも整理が苦手でいけない。使はなくなつたら処分すればいいのに、がらくた箱にはふり込む惡癖があつて、忘れた頃に、何故こんな物が残つてゐるのかと驚く事がある。 画像もそれで、見ての通り、VistaQuest(VQ1005)といふ玩具デジタル・カメラ。序でに記す…

424 無頓着

概してわたしはお酒(ここでは日本酒を指す)に無頓着であるらしい。好きな銘柄が無いわけではないし、呑むのだつて決してきらひではないけれど。 「そんなの、前から判つてゐるよ」 と笑ふひとは、以前からの讀者にちがひない。この場を借りて、御礼を申し上げ…

423 好事家の玩具

ニコン1といふカメラがあつた。訓みはニコン・ワン。ニコワンなどと省略されもしましたな。一インチのセンサーを採用したレンズ交換式のミラーレス・カメラで、ニコンでは"レンズ交換式アドバンストカメラ"と称した。何故だかはよく判らない。最初に上位機種…

422 旧い友人曰く

過日、旧い友人と呑んでゐて、カメラの話になつた。以前なら、どこから出たあの機種は、と新製品について、ああだかうだと云ひあつたものだが、さういふ熱狂とは縁遠くなつた小父さんふたりである。 「どうやつて、持ち出すカメラとレンズを最小限に纏めれば…

421 はしご

梯子で呑まうといふ話になつた。ニューナンブの頴娃君が多摩某所での酒席を予約したので、それに乗る趣向である。 起床五時半。 珈琲とヤマザキのロールケーキで朝めしとする。平日はこんな時間に起きるなど、ぜつたいに出來ないのに、人間の躰は不思議なも…

420 数字繋り

一ぺんだけデジタル一眼レフを買つた事がある。 オリンパスのE-420といふ機種。(所謂)標準ズーム・レンズのZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6がセットで、四万円くらゐだつたと記憶してゐる。買つた理由は大きく ・廉価だつたから。 ・宮﨑あおいが使つてゐ…

419 半分

ハーフ・サイズのカメラと云つて、直ぐにあのカメラと応じられるひとは少くなつたのではないかと思ふ。35ミリ・フヰルムを用ゐ、冩せる面積はその半分。単純に一本のフヰルムで撮影出來る枚数が倍になる。昭和卅年代だからわたしが生れる前に大流行したとい…

418 関白大根

大根はどう料つてもうまい。 鰤と焚合せて。 おでんやもつ煮の種で。 サラドに仕立ててもうまいし、もつと単純にお刺身のつまなんかもいい。大葉にくるんでもいいし、水炊きの時にしやぶつとしても、またうまい。[吉兆]の初代さんが書いた一文によると、焼き…

417 潜伏期間

ここで云ふコンタックスは、ヤシカを経て京セラのブランドになつた、フヰルム一眼レフのコンタックスである。 コンタックスとカール・ツァイスとツァイス・イコンの関係は實にややこしい。ごく大雑把に、カール・ツァイスといふ光學会社があつて、それはまた…

416 汁をかける

ごはんに何かしらを打ち掛けて食べる。といふのは大体の場合、お行儀が惡いと云はれる。例外としていいのは、お茶漬け(湯漬けや水飯も含めたい)と味噌汁掛けくらゐではないだらうか。何となく、分りますね、この気分。お椀を綺麗にしてからご馳走さまを云ふ…

415 雑誌小考

雑誌を定期的に買はなくなつて久しい。昔…と呼べるくらゐ前は、記憶を探ると 『アニメージュ』 『アニメディア』 『アニメック』 『OUT』 『ふぁんろーど』 『宇宙船』 『アサヒカメラ』 『日本カメラ』 『CAPA』 『カメラマン』 『写真工業』 『本の雑誌』 …

414 したたかポーク

豚肉の塩漬けの罐詰。 「ああ。スパムの事でせう」 と云ふひとがゐさうだが、スパムは銘柄のひとつなので(外にホーメルやチューリップがあつたと思ふ)、注意しなくてはならない。より正確にはポーク・ランチョン・ミート。十数年前に沖縄で聞いた時は単にポー…

413 夢の超特急

我われの世代にとつて"夢の超特急"と云へぱ、新幹線ひかり號である。『サイボーグ009』でも加速装置で新幹線と並走(!)する島村ジョーが、無賃乗車を気にしながら、どうにも我慢出來なくなつて、その屋根にちやつかり坐る場面があるくらゐで、鐵道史を顧みる…

412 令和二年の手帖

高橋書店の"フェルテ4(製品番號234)"…以下単純に"フェルテ"と呼ぶ…を令和二年の手帖に撰んだ。前年(平成卅一年から令和元年にかけて)は同社の"リシェル"を使つて、それよりひと廻り判型が大きい。参考までに云ふと、価格は消費税が別で千四百円。"リシェル"…

411 長閑な春

我が親愛なる讀者諸嬢諸氏に新年の御挨拶を申し上げる。 令和二年は佛さまに挨拶をしてから、お屠蘇代りのお酒を一杯にお餅を三個で始つた。 淡いろの 胃の腑に落ちる お屠蘇かな(颯風) 餅を食む 顎くひしばる 年の明け(颯風) 皆々様に佳き一年となります様。

410 年の瀬の御加護

伝承によると推古天皇元年…六世紀末頃の創建であるといふ。ウェブサイトによると 『日本書紀』の伝えるところでは、物部守屋と蘇我馬子の合戦の折り、崇仏派の蘇我氏についた聖徳太子が形勢の不利を打開するために、自ら四天王像を彫りもし、この戦いに勝利…

409 オチデント・ノ・エトセトラ

■始め 二十年ほど東京に住んでゐる。併し親は大坂にゐて、だから年末から年始にかけて、二週間余り西に上る。えらく長いねと云はれさうだが、年に一ぺん所謂長期休暇(と呼べるほど長いとも思へないのだが)を取つて、文句を附けられても肩をすくめる外にない…

408 巨視的な年末年始

師走の晦日には蕎麦を啜つて、正月の三ヶ日にはお雑煮を食べておせちをつまむのが我が國の伝統で、多分二百年とかそれくらゐの歴史があると思ふ。たかが二百年と笑つてはいけない。二百年前は元號だと文政の初期。判りにくければ明治維新のほぼ半世紀前と云…