ある食べものをどんな風に仕上げ、またどう食べるかといふ設問は本來無意味である。そンなもん、気分で決めたらエエんよ、気分で。さう居直るのが正しいしまた旨くもある。
食べもので“ねばならぬ”を云ふほど、莫迦げた態度はない、併し結論を出すかどうかは措いて、議論や思考の種になるのもまた事實で、今回はさういふ話…といふよりも順不同で敬称略の箇条書き。
■うで卵
堅茹でに限る。
■目玉焼き
半熟。添へるのはマヨネィーズが基本。ごはんにあはせる場合は少量の醤油を加へて宜しい。
■天麩羅
天つゆ(及び大根おろし)及び塩。種によつて使ひ分けるのが本來だが、ここは天つゆ。
■ベーコン
薄切りをかりかりになるまで。
■カレー・ライス
混ぜるのは野蛮人。
■コロッケと鯵フライ
揚げたてでなければ醤油。
■牡蠣フライ
ウスター・ソースにちよつぴりのチリー・ソースを忍ばせて。
■焼き鳥
たれ。
■焼そば
ソース。大量の紅生姜は必須。
■ラーメン
醤油。海苔ともやしは敵。
■酢豚
パインアップルを活用しない、ケチャップで甘つたるい酢豚に何の値うちがあるだらうか。
■冷し中華
焼豚煮豚ではなく、ハムを使ふべし。マヨネィーズを添へるのは東海人に任せればよい。
■ポテト・サラド
馬鈴薯は念入りに潰すこと。また薄切りにした酸味のきつい林檎(季節によつては八朔も可)は不可欠。
■餃子
焼餃子。酢醤油に少量の醤油。それから大量の潰したにんにく。神戸で一ぺん、とんでもなく美味い辛味噌で喰つたが、あれは稀有な例外とする。
■豚まん
肉まんと呼ぶべからず。辛子醤油で食べるべし。
■肉じやが
当然、牛肉。ビーフ・シチューの勘違ひだもの。
■ポーク玉子
玉子焼きは薄手の堅め。あはすのはハインツ。
■ちやんぷるー
オリオン・ビール抜きだつて?
■泡盛
残波。カリー春雨。菊乃露。
■麦酒
バス・ペールエイル。ギネス。ヱビス。
■フィッシュ・アンド・チップス
信用出來るお店でなければ、ヴィネガーは避ける方が無難。
■ビーフ・ステイク
ミディアム。
■生ハム
オリーヴ油と黒胡椒。
■ピックルス
どうして甘く仕立てたがるのかなあ。
■酢のもの
蛸と若布と胡瓜。濁り酒で。
■お漬け物
野沢菜、白菜、胡瓜。
■鮭
塩焼き。皮を残すのは邪道。
■秋刀魚
膓があつてこそ。
■鮪
赤身。
■大根
おろし。
■お味噌汁
溶き卵と薄切りの玉葱。
■卵かけごはん
かき混ぜはざつくり。醤油はちよろり。ごはんに埋めるのが正しいし美味い。
他にも挙げてゆけば切りはないが、まあこれくらゐにしておきませう。同意でも反論でも異論でも、我が親愛なる讀者諸嬢諸氏には、閑潰しにして頂ければ成功だと思はれる。