閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

265 ウォー・クライ

 ニュージーランド

 英語だとNew Zealand

 漢字表記は新西蘭。

 國号のはオランダのゼーラント州 (Zeeland)に由來する。ラテン語で “Nova Zeelandia”(新しい海の土地)といふ意味。

 そこでゼーラント州を調べると確かに州の四割弱が水域である。ゼーラント州は東京都より少し広いくらゐ。成る程“海の土地”といふのも納得出來る名前である。我が親愛なる讀者諸嬢諸氏よ、ご存知でしたか。わたしは初めて知つた。

 翻つてゼーラントに因んだニュージーランドについて、我われは何を知つてゐるだらう。

 オールブラックスとウォー・クライ(ハカといふ伝統的な舞踊)

 それからキウイ。

 それから。

 ニュージーランド人には申し訳ないが、外に浮んでこない。併し惡い印象は丸でなくて、ラグビーからの連想なのだらう、気が好くて GUINNESS (何しろ英連邦の一角である)を愛する力持ち…但し嫁さんには頭が上がらない…のやうな感じがする。いやこれはポリネシア人全体に繋がる印象かも知れない。

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 併し最近、ニュージーランドの連想に新人が加入した。画像の Stratum Waipara (後者が藏の名前だらう)がそれ。ご覧のとほり、ソーヴィニヨン・ブランを用ゐた白。酸味は抑へ気味、甘さは控へ目、均衡の取れた實に繊細な味はひだつたのには驚かされた。チリやアルゼンチン、或は南アフリカの葡萄酒が侮り難いのは経験したけれど、ニュージーランドもまた侮つてはならない。別の銘柄も旨ければ、その時はウォー・クライを叫んでもいいだらうか。