閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

483 うつかり

 結論を先に云ふと、パナソニック製のG14ミリ/F2.5レンズを買つたのが、うつかりである。衝動買ひではない。以前からあればよからうと思つてゐて、この手帖でもなんどか触れた記憶がある。Ⅰ型と呼ばれる旧式の方。Ⅱ型は外観がちがふだけで、中身は同じださうだから、そつちにした。型落ちレンズなので中古である。値段は書かない。

 持つとえらく軽い。50グラムとかそんな重さ…軽さ(テッサーやリケノンの45ミリと同じくらゐではなかつたか)が気に入つた。18センチまで寄れるのも宜しい。手元にある矢張りパナソニックのGF1と同3に附けた。どちらも中々似合ふ。小ささと軽さを優先してGF3で使はうと思つた。

 それはいいとして、そのままではレンズの前面に触れてしまひさうなのが困る。がらくた匣を引つ掻きまはしたら、46ミリのドーム型のフードがあつた。どこの製品だか判らないが、大方マルミとかその辺だらう。附けても出つ張りが目立たないのはいい。満足しさうになつたが、これだとキャップが嵌まらなくなると気づいた。このドーム型フードで使へるのは37ミリのキャップで、持つてゐたのは何年か前、友人に譲つた。改めて買ふのは癪に障る。もう一ぺん、先刻のがらくた匣を引つ繰り返すと46>49ミリのステップ・アップ・リング(ケンコー製)があつた。それを見て思ひ出して、もうちつと探つたら、オリンパスの28ミリ/F3.5用のフードがあつた。ちようど49ミリ。附けると中々恰好が宜しく、附属のキャップが使へるのもいい。但しぐつと押し出す姿になつて小ささは著しく損なわれる。この辺は持ち歩き方で決めねばなるまい。

 だとすればストラップやケイス、ポーチやバッグが大切になつてくる。だとしなくても大切であつて、實のところ前々から結論を出しかねてゐる。GF3は云はばレンズを交換出來るコンパクト・カメラだから、重々しく仰々しく持ち出したくない。その意味ではリスト乃至フィンガー・ストラップが望ましいのだが、手に持つたまま歩くことになりかねないのが難点である。そこで更にがらくた匣をごそごそしたら、リコーのネック・ストラップが出てきた。GRデジタルⅡを使つてゐた頃に買つたやつである。ナイロン製でそんなに長くもなく、まあ薄手といつていい。これなら肩首から下げられもするし、結んで鞄に放り込めもする。さう思つて附けてみたら惡くない。重いレンズには不向きだらうが、そもそもGF3に重いレンズは似合はないし、附ける積りもなく、そこは心配しなくてもいい。

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 残るは折角買つたレンズなのだもの、使はなければ大損といふことになつて、詰り撮らなくてはならない。その気で買つたのだから困りはしないが、何しろ平成末期から眞面目に撮つてゐない。我が親愛なる讀者諸嬢諸氏の膝下にこのG14ミリの冩眞をお届けするには、暫しの猶予をもらはざるを得ない筈で、うつかりといふのは怖いものである。