閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

599 ピーマンに詰める

 中南米を原産とした唐辛子の一族に分類される。唐辛子自体も同じ地域が原産地で、日本には明治期、北米で改良された品種が入つてきたさうである。ピーマンの話。但しその呼び方はフランス語かポルトガル語由來らしい。日本語では西洋唐辛子だの、甘唐辛子だのと呼ぶ。

 農林水産省のウェブ・サイトを見ると、ビタミンCやβカロテンに富み、加熱しても前者の損失は僅かなのが特徴とある。優秀だねえ。それにうまい。細切りを肉野菜炒めに入れてよく、串を打つて焼くか揚げてもいい。

 もつと褒めたいのは、生が意外なほど旨いことで、水に晒した玉葱といい勝負をする。いやもしかすると玉葱を上回るかも知れず、何しろピーマンの空洞にはあれこれ詰める樂みがある。などと考へたのは画像のとほり、肉味噌を詰めた生ピーマンを食べる機会があつて、これが宜しかつた。わたしは野菜の青臭さを気にしないたちだが、気になるひとも肉味噌の味が濃いから、辟易しないと思ふ。

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 囓るとピーマンの歯触りと肉味噌の柔らかさが混ざつて好もしい。ピーマンを器に見立てて(烏賊徳利のやうに)、肉味噌をつまむのも惡くない。麦酒か焼酎ハイなんぞを呑みながら、やつつけるのがいいと思ふ。ゆつくり食べても、元々がサラドみたいな食べものだから、冷める心配はせずに済む。