初版は平成元年。手元のは翌平成二年の第十刷。
天下の奇人…傾奇者、慶次郎前田利益を主人公に云々と説明するより、漫画『花の慶次』の元になつた小説、と云ふ方が通るかも知れない。中身については後日、"本の話"で触れることにする。
本棚での並びを考へると、単行本を買ふことは滅多に無いのだが、辛抱堪らず買つた。この頃はまだ、あの不細工きはまるバー・コードが印刷されてをらず、表裏どちらから眺めても、惡い姿にならないのが宜しい。
和田誠の本で讀んだ記憶があるのだが、装訂家にとつてあの不規則な縦棒は、我慢ならないといふ。どうやつてもデザインに収まらないからださうで、まあ当然でせうね。勿論そこに出版社の都合もあるのだらうと、その辺を察するのは吝かでないにせよ、デザイナーの見立てと出版社の事情なら、前者を優先させるのが、本來ではないだらうか。