昭和の終り…千九百八十年代の後半、ほんの一瞬、併し強烈な輝きを見せた…PINKはさういふバンドだつた。
わたしと近い年代の小父さん小母さんはきつと、ソニーが提供した『Music TV』の洗礼を受けた筈で、そのオープニングに採用されたのが、この唄…正確にはその一部分だつたと記憶してゐる。
ロックといふか、ポップスといふか。
兎にも角にも巧い。
としか云ひやうがない。
尤も今、この唄を改めて聴くとPINKは、恐ろしく高度な技術を誇る"個人の集団"だつたのだなあと思へてくる。わたしの印象だから、信じられると困るのだが、最終的に空中分解したのも無理はない。福岡ユタカとホッピー神山とスティーブ衛藤が長く、共同で作業出來るものか。
發表したアルバムはたつたの五枚。
併しその鮮烈な音は卅数年を経た令和になつても、未だ耳の底にこびりついてゐる。この唄は確かに、その始まりを高く宣言してゐた。さう考へた時、『Music TV』のオープニングに採られたのは、象徴的であつたと云つてもいい。