目に馴染んではゐるけれど、何がどうなつて、その名を冠されるに到つたのか、どうも判らない筆頭は、バーベキュー(叉はBBQ)味、續くのがサラダ味で、ああいふ味のバーベキューにもサラダにも、出あつたことがない。一方でどちらにも、大体こんな感じといふイメージはある。妙な話だが、関係各社の努力と呼ぶべきか。併し實は、バーベキュー味やサラダ味より、判らない味の名前があつて、それが詰りスタミナ(味)である。
スタミナを(半ば無理やり)食べものに結びつけるなら、精力を高め、或は保持する材料であつて、何かの味を示し、象徴するものではない。その筈なのだが、現實にはスタミナラーメンだの、スタミナ焼き定食だのがある。更に云ふと、バーベキュー味やサラダ味のやうな、"これがスタミナ味"であるといふ、統一的な印象がない。五蘊…殊に大蒜と韮の多用は、共通すると思へなくもないが、今のところ、"スタミナ(味)の決定版!"は、成り立つてゐなささうでもある。
某所の呑み屋にも、画像のとほり、"スタミナ"がある。ハラミとかハツとかネギマが並ぶ品書きに、スタミナと書かれてゐるのは、何とも奇妙な字面に感じられるが、そこはまあ、措くことにして。
ここでは内臓のおそらく膏みに、大蒜と唐辛子を加へた、からめのお味噌との組合せを、スタミナと呼んでゐて、實のところ、見た目ほど、くどくはない。私の舌には辛く感じられるが、気が向けば註文するくらゐにはうまい…さりとてこれが、"スタミナ(味)"のスタンダード、とは矢張り思ひにくいし、云ひにくくもある。
一方で、獸の臓物と五蘊の組合せは、"スタミナ"の基本的な材料と思はれる。ただその場合、もつ煮及びもつ焼き全体が、"スタミナ"に含まれることになる。その見立ては、間違ひではないかも知れないけれど、範囲が広すぎると思へてもくる。詰り臓物五蘊に加へ、"スタミナ"を決める要素があるのだと推測が出來て、ただそのピースは何なのか。全國スタミナ(味)普及協議會のひとたちと、臓物を扱ふ呑み屋は、手を携へて、その辺りをひとつ、アレしてもらひたい。