コロッケとは暫く、御無沙汰をしてゐる。
何となく、縁遠くなり、そのままな感じ。
あ、さうだ。上で云ふのは、じやが芋を使つた(所謂ポテト)コロッケです。マーケットのお惣菜賣場でもお馴染み、大人も子供も、あなたも私も、皆んな大好き、じやが芋のコロッケ。
そのじやが芋には、挽き肉と玉葱を混ぜ込むのが基本だと思ふが、中にはポテトサラドや肉じやがを用ゐたコロッケもあるから、一口にじやが芋のコロッケと云つても、優劣をつけるのは、きはめて六つかしい。
だから長の御無沙汰になつた…のでもないのだが。
ところで、親愛なる讀者諸嬢諸氏に伺ひたい。じやが芋コロッケは、一日のどこで、どんな風に食べるのが、うまいと思ひますか。
食パンに乗せ、トースターで焦げ目がつくまで焼いてから、ウスターソースをざんぶり掛ける朝。
カレーライスに追加し、醤油をちろりと垂らす晝、或は罐麦酒のお供に囓る、休日の午后おそく。
かう考へると先づ、じやが芋コロッケを定食式に、ごはんのおかずとして食べるとして、ミンチカツやチキンカツには及ばず、ハムカツ相手であれば勝るくらゐの地位らしい…とこれは、私の推測だが、惡くないところを衝いてゐるでせう。
では罐麦酒や焼酎ハイのお供にどうかと云へば、ハムカツに逆転され、ミンチカツには届かず、チキンカツと好勝負を展開するだらうとは予想出來て、何と云ふか、コロッケ優位の場面は、頭に浮べにくい。目の前に出されたら嬉しいのに。
不思議だなあ。
これがクリームコロッケになると、話はぜんぜんちがつてくる。コールスローのサラドにスパゲッティをほんの少し。柴漬けとたくわん、ごはんとお味噌汁…洋食屋の定食なら、海老フライ、ハンバーグ、ミンチカツと共に、四天王の一角を占める實力を發揮するもの。もしかしてコロッケと云つても、じやが芋とクリームは、所属が異なるのか。
かと云つて、クリームコロッケに任せるのが、最適解といふ主張。判らなくもないが、近所のマーケットや、コンビニエンス・ストアで、気らくに贖へるのは圧倒的に、じやが芋コロッケである。その平々凡々加減、ありきたり具合が、クリームコロッケ(更にミンチカツ他のフライもの)への優位と思へるし、その優位を活かさない手はないとも思ふ。
そこで話が冒頭、どうすれば…詰り一日のどこで、どんな風に食べ、叉味はふのが好もしく、望ましいのかといふ点に戻る。ひよつとして私の無沙汰の理由は、この点が解消してゐないからかも知れない。
ささやかな経験で云ふなら、キヤベツやスパゲッティと一緒に、トースト・サンドウィッチ仕立てとし、麦酒のお供にするのが、現時点での最良の解なのだが、これだとカツサンド…とんかつでもチキンカツでもビーフカツでも…の下位互換の地位から抜け出せまい。
さう。そんなこんなの事情で、今の私はコロッケと御無沙汰をしてゐる。
我が有識であるところの讀者諸嬢諸氏には、じやが芋コロッケを、どんな風に樂んでをられるのか。豊かな経験と知識を御教示(コロッケ蕎麦といふ、明治以來、和洋の合体藝で最大の失敗は除くとして)頂ければ、コロッケと私の縁は、再び緊密になるだらう。