閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

1399 胸痛碌(13)一年

 

 胸の眞ん中に、堅い護謨の塊を捩ぢこまれるやうな痛みを感じ、のたうちながら救急に助けてもらつた。あれから一年が過ぎ、我が心臓は幸ひ、動き續けてゐる。

 

 父は見送れた。

 母も見送らう。

 

 その日まで(辛うじてでも)、動いてくれれば、文句を云ふ筋はなくーそれから出來るなら、護謨の塊だけは、遠慮を願ひたい。一年が過ぎた今、さう思つてゐる。