ここ暫く、気に入つた呑み屋がある。焼き鳥の店。小さいけれど、人気らしい。時間帯によつては、入れないこともある。だから場所も名前も云はない。客あしらひが上手で、そのお客も愉快なひとが多い。何より焼き鳥が旨く、そんなに高くもつかないのが嬉しい。
ところで。その呑み屋で、私を喜ばすのは、せせりやレバーも勿論なんだが、野菜の串なんである。やさいと曖昧に云つたのは、時々によつて、あるものがちがふからで、たとへば蓮根、或はスナップ豌豆、更には長芋その他と多岐に渡り、但し一定しない。食べたければ
「けふの野菜は、何がありますか」
さう訊かねばならず、さうしたらカウンタの向ふで冷藏庫を開け、あれやこれやがありますよと教へてくれる。そこで椎茸だの何だのを焼いてもらふ。私が椎茸を椎茸の姿のまま、口にするのは、殆ど無いのだが、まあそれは、余計な話。
さてその野菜。種を訊くにあたつて時折り、ぜんぜん知らない名前の出ることがある。正確な名前は聞いた端から忘れたけれど
「カリフラワーと何やらの掛合せ」
なのだといふ。焼く前の姿は確かに、減量に成功したカリフラワーのやうに見え…なくもない。カリフラワーそのものは、決してきらひな野菜ではないから、焼いてもらつた。それが下の画像。

見えた限り、特別な焼き方をしたとは思へない。
味つけは、淡泊さうな見た目にあふ、淡泊な塩。
特筆したいのは、嚙んだ時の歯触りといふか歯応へ。塩加減も上々で、これが實に私好み。前半なら物足りなく感じたかも知れないが、数本の串を平らげた後には、具合がよろしい。獅子唐や玉葱が結構なのは云ふまでもないとして、知らない野菜をおまかせで焼いてもらふのだつて、樂いものなのだね。
ただこの夜のカリフラワーの何やら、正しい呼び名が記憶から、すつぽり抜け落ちてゐる。これは止む事を得ない。改めて時間を作つて、確かめに行かねばなるまいと思つてゐる。