閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

153 眞似びにならず

オーケストラの指揮者にあくがれがある。 さう思つたのは、併し近年のことで、2012年にウィーンフィルのニューイヤー・コンサートで棒を振つたマリス・ヤンソンス…正確に云ふと、その掉尾を飾る「ラデツキー行進曲」でのヤンソンスで、何しろあのコンサート…

152 妙な飲みもの

ホッピーといふ妙な飲みものがある。“清涼飲料水”で、主に焼酎(甲類)を割るのに使ふ。それ自体だけでなく、焼酎を含めてホッピーセットと呼ぶこともあつて、この場合、ホッピー自体は“外”、焼酎は“中”と分解される。最初は“外”と“中”が同時に出され、後は“中…

151 折合ひ

偶にマーケットでお弁当を買ふ。簡単な食事の準備すら面倒で、飲み屋に行く気分でもない時。併し罐麦酒は飲むので、たとへばにぎり鮨なんていふのは買はない。おかずがつまみを兼ねるのだから、当然の判断である。 だから大体は幕の内弁当的なのを撰ぶ。何と…

150 颯風

雅号といふのがありますな。松尾芭蕉の芭蕉、小林一茶の一茶。文人だけでなく、佐久間象山の象山や武市半平太の瑞山もさう。新聞記者でも長谷川如是閑や福地櫻癡、陸羯南がさうだし、勿論文人である夏目漱石や森鴎外、内田百閒に永井荷風。詩人で云ふと正岡…