2023-01-01から1年間の記事一覧
パナソニックにGH2といふデジタルカメラがあつた。 發賣は平成廿二年…十三年前である。その時に父親が、十倍のズームレンズと一緒に贖つた。懇意の電器屋がパナソニックを扱つてゐたのが理由のひとつ。この手の玩具を買ふにあたつて、最新型を慾しがる指向が…
大坂にゐる。 新大阪驛で東海道新幹線を降り、大阪メトロ御堂筋線の西中島南方驛、阪急京都線の南方驛を経て、地元の最寄驛に着到し、そこからは徒歩。梅田まで行かなかつたのは、路に迷ひさうな気がしたからである。あすこはもう、知らない街になつて仕舞つ…
西上碌の外題は毎回、同じである。 『ウルトラセブン』の「U警備隊、西へ」…神戸の港を舞台に、キングジョーこと、ペダン星人のロボットが登場する前後篇…を盗んだ。セブンには、秀逸な題が少からずある。第一話の「姿なき挑戦者」から、既に恰好いいもの。 セブ…
拉麺に就ては詳しくない。だから拉麺と湯麺が、どこで区別されるのか、よくわからない。大体が拉麺じたい、この國では、無秩序な展がりを見せてゐる。 ややこしいことを云はなければ併し、寒い日の晝にやつつける拉麺乃至湯麺は、決して惡くないもので、お店…
白菜。 胡瓜。 たくわん。 蕪。 高菜。 ピックルスにザワークラウト。 その他、辣韮や梅干しも含めていいか知ら、兎にも角にも諸々のお漬物がある中で、私が一等好きなのは、野沢菜漬けなのである。ごはんとお味噌汁、一切れの焼き鮭(鯖や鯵や鯵、或は秋刀魚…
玉子を使つた料理が何種類あるのか、知らないけれど、オムレツやスクランブルド・エグス、目玉焼き(ハムエッグやベーコンエッグも含めて)と並んで、玉子焼きがトップランカーなのは、間違ひないと思はれる。 某日の夕方、馴染んだ呑み屋の品書きに、玉子焼き…
普段はあんまり鮪を食べない。 お刺身なら鰤、焼くなら鮭、煮るなら鯖、揚げるなら鯵が嬉しく叉望ましい。ここで慌てて云ふと、積極的に食べはしないだけで、まづいとは思ひませんよはない。どうした弾みか、鮪を好む習慣を、身に附け損ねたのだな、きつと。…
魚の旬には詳しくないから、いい加減に書くけれど、鯵は一年を通してうまい。 お刺身やたたき、塩焼き、一夜干しに南蛮漬け。 おかずにも肴にもなるのは勿論、骨で出汁を取れば、お味噌汁やお吸物にも仕立てられて、まことに目出度い。 我が國獨特の調理法な…
冬は曇つた空がいい。 夏の遠雷にならんで。 どうにも家から出るのが億劫に感じられて、かういふ時には、篭つて呑むのが最善手と云つていい。 馴染んだ呑み屋の卓をば目指すのが次善の手で、會社勤めの身では、こちらを撰ぶことが多くなる。 ある空が曇つた…
この組合せを試した記憶がない。思ひ出せないだけかも知れないが、思ひ出せないのだつたら、試してゐないのと同じである。それで試すことにした。 うまいものだねえ。静岡式だからなのか、おでんつゆが少いのは惜しまれるけれど、ささやかな難点に口煩い態度…
"すき煮風"と呼ばれる煮方がある。"鋤焼き風の煮もの"とか、そんな意味合ひか。ものすごく乱暴に云へば、鋤焼きの割下で味つけすれば、かう呼べるのだらう…と書けば 「ははあ丸太は、"すき煮風"に批判的なのだな」 など云はれさうだが、實際は逆で、甘辛な味つ…
ソース焼そばは、安つぽく仕立てたのが旨い。尤もさういふ安つぽい仕立てに、舌が馴染みきつた所為である。従つてソース焼そばに最適な麺とソース、キヤベツと豚肉と紅生姜を厳撰して作られたのを食べたら、意見が一転する可能性はたつぷり、残されてゐるけ…
鶏の唐揚げには、檸檬を勝手に搾つてはならぬ、と主張する派閥がある。 一方で、相性のよさを鑑み、檸檬は搾るべきだ、と主張する派閥もある。 これを巷間では、"唐揚げ檸檬問題"と呼ぶ。 野暮を云へば、檸檬を搾るか否かは、それぞれの好みに依存する。だか…
数が多ければ、えらいのかと云はれたら、さうとは限らないよねえ、と応じざるを得ない。例外があるのは念を押すまでもなく、たとへば本塁打の数は、多ければそれだけ大きく胸を張れる。併し前科だつたら、少いに越したことはない。更に数の多少と、えらいか…
書き出した時点で、[閑文字手帖]のページ・ヴューが、一万にひとり、足りないところまで到つてゐる。この稿が千にひとつ及ばないのと、歩調が合つてゐる風に見えたのだが、これはただの偶然である。 それは兎も角。 過日の晩、鶏皮(揚げ)のぽん酢和へ…鶏皮ぽ…
年の瀬、西上前には、東都の気に入りの呑み屋を巡ることにしてゐる。巡るといつたつて、強靭ではない体だから、三軒…頑張つても四軒が精一杯である。併し気に入りの呑み屋は、三軒四軒では収まらず、そしてお酒は、頑張つて呑むものではない。となつたら 「西…
おでんの種を撰びなさいと云はれたら、次の順に挙げる。前半の四天王に、後半の四種を加へて八強。 玉子 大根 厚揚げ 牛すぢ 平天 飯蛸 焼き豆腐 お餅の巾着 こんな風に書いたら、竹輪麸を忘れてはいかんとか、結び蒟蒻が判らないとは素人めとか、平天ではな…
しつつこく西上の、主に経路に就て迷ひ續けてゐる。ふはふはした感覚を樂んでゐる、と云ひかへてもいい。 最も時間が掛かるのは、新宿から小田急小田原線の急行に乗り、新松田で途中下車して、中沢酒造の[松みどり]を買つてから、小田原に行く。東横インへの…
何日か前、買つたお弁当…どこだつたか、洋食屋監修を謳つた、ハンバーグとクリーム・コロッケ…の画像を見て、さう云へば(私の知る範囲の)大坂に、洋食屋は少いなあと思つた。東都には[たいめいけん]だの、[ヨシカミ]だの、[ぺいざん]だのと、好きな洋食屋が…
近年はすつかり躰が弱くなつたから、御無沙汰なんだけれど、ある時期まで、呑んだ後にそばを啜る習慣があつた。夜遅く…夜中に開いてゐるのは、チェーン店の立ち喰ひ蕎麦屋くらゐで、必然的にそこに入つた。 「呑んだ後なら、ラーメンだらう」 さう考へるひとは…
もうこれは、外題のとほりである。 西上にあたつては、GRⅢを、持つてゆく。 一台きりの予定。 廿八ミリだけで大丈夫かと心配する向きには、感謝を示しつつも、クロップすれば、卅五ミリ五十ミリ相当も使へるから、平気なのですと応じておく。 問題は、本体の…
子供の頃の記憶だから、四十年余り前になる。大坂の家では、寒くなると、石油ストーブを使つてゐた。燐寸で火を点け、火力はダイヤルで調整するやつ。 屋根(天板と呼ぶのが正しいのか知ら)に水を満たした藥罐を乗せ、夜になつたらそこに一合徳利を入れ、お燗…
西上に就て、未だふはふはしてゐる。ふはふはさしてゐると云ふ方が正確かも知れない。切符を贖へば、そこから先、新大阪驛までの予定は、自動的に決まる。迷ひに迷つた挙げ句、結論に到らなければ、指定席の取れるのぞみ號に乗ればよく、眞剣さに欠けたふは…
魚肉を叩いて練つて油で揚げたら、薩摩揚げが出來上る。揚げたてがいいのは勿論、冷めたのを焙りなほしてもよい。生姜醤油を忘れぬこと。長葱や大根と焚くのも宜しく、饂飩の種にしてもうまい。さう云へば九州で天麩羅饂飩を註文すると、薩摩揚げが乗せられ…
令和五年の霜月上旬は妙に生暖かくて、一ぺんに寒くなるよりはましとして、どうとなく落ち着かなくもある。何故かと考へるに、鍋ものが恋しくならない。水炊きに寄せ鍋に、おでんや鋤焼き…この両者を鍋ものと呼べるのかといふ点には、議論の余地がある…、湯…
霜月になり、そろそろと西上に就て、考へ出した。例年なら、"ぷらっとこだま"を買つて、"居酒屋 こだま號"を運行させるけれど、調べたところ、その"ぷらっとこだま"が、インターネット上の販賣、且つ支払ひがクレジットカードのみとなつてゐたから驚いた。私…
某夜某所の某ラウンジで。 焼いたチーズで蓋をした器の中身は、ミートソースのスパゲッティだつた、うまかつた。 かういつたお摘みを、いきなり出してくるんだから、油断も隙もあつたものぢやあない。
蕎麦に生卵を乗せたのを、月見と呼ぶ…のは正しくない。尊敬する吉田健一は、列車旅の途中驛で、立ち食ひ蕎麦を啜るのを、樂みのひとつにしてゐたらしいが、かれはそれを 「かけに生玉子を落としたの」 と書いてゐる。あの批評家兼随筆家は、食べものに厳格なひ…
少し前、多摩方面に行く所用があつた。所用と云つても、仕事がどうかうではなかつた。だからお酒を買つた。その中のひとつが、下の画像である。 石川酒造は[多満自慢]のカップ。 なんだカップ酒かと笑つてはいけません。しやんとした酒藏が醸るカップ酒なら…
水戸の御老公こと徳川光圀は、鮭が大好物だつた。就中、皮を殊の外このみ、一寸厚の鮭の皮があれば、何万石かと交換してもいいと云つた由。實際にあつたら、水戸はたいへん困窮しただらう。尤も『大日本史』の編纂といふ壮大な無駄遣ひに較べれば、ましだつ…