閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

620 特典

デジタル・カメラの有難さは、失敗を恐れなくてもいい事。 デジタル・カメラの厄介さは、失敗に頓着しなくなること。

619 イミテイション

助惣鱈などの擂り身をどうかうして、細くほぐれる加工を施し、蟹に似せた味を附けたのを、英語では imitation crab stick と呼ぶさうで、素つ気無いねえ。これを日本では蟹(風味)蒲鉾…略してかにかまといふ。 昭和四十年代の終り頃、我が國で開發されたらし…

618 好きな唄の話~番外篇

たれかが踊つてゐる。 ひとりで踊つてゐる。 その周りには人びとがゐて、しづかな踊りを見るでなく、目の隅に入れてゐる。 一心不乱の踊りはいつしか、周りの人びとに移り、大きなうねりになつてゆく。 ラヴェルが呉れた十五分間の奇蹟。 たれが云つたのか忘…

617 特別販賣

焼酎を一本奢つて 急いで家に帰らう

616 削る

生ハムをごりごり削る様は、どこか、ドネル・ケバブに似てゐる。 どちらももう、長いこと、ありついてゐないところも、似てゐる。

615 利きすぎの塩

画像は"中華風旨辛もつ煮丼"、八百五十円。"数量限定"の触れ込みに釣られて食べた。このお店は何度か足を運んでゐるから、下手を打つ心配は無い。 さう思つて食べると、確かにまづくはなかつたけれど、感心も出來なかつたから、少し驚いた。蒟蒻や大根、人参…

614 ね

鯵フライについては何度か、或は何度も触れてゐる。 どうもわたしの舌は廉に出來てゐるらしく、干物やたたきや押し寿司も好物なのだが、鯵の料理と聞いて最初に浮ぶのは鯵フライなんである。 我が國で鯵は、古代から馴染みの深い魚であつた。味がいいから、…

613 長いこと食べてゐない

もう長いことハンバーグを食べてゐない。わたしが云ふのは洋食屋のハンバーグで、マーケットで賣つてある湯煎なり何なりで食べるハンバーグではない。そんなにちがふのかと訊かれれば、それだけちがふのですと応じざるを得ない。乱暴に云へば挽き肉を捏ねて…

612 曖昧映画館~スーパーマン

記憶に残る映画を記憶のまま、曖昧に書く。 アメリカのヒーロー・コミックにはまつたく詳しくないので印象で云ふのだが、妙なところを妙に現實的に描かうとする癖がありさうに思ふ。バットマンは齢を取るし、キャプテン・アメリカは法に縛られたりする。翻つ…

611 吝かではない納豆

愛好者がゐるのは知つてゐるし、それを止める積りも非難する積りも無いのだけれど、どうしたつて食べられない…食べたくないのが納豆で、齢を経て好ききらひが少くなつた今に残る数少い例外と云つていい。 「食べず嫌ひはいけません」 と咜られさうだが、二回か…

610 好きな唄の話~まほろば

眞秀場といふ字を宛てるらしい。 "本当に素晴らしい土地"くらゐの意で、現代では奈良…平城辺りを指す。倭建命が、やまとはくにのまほろば、と詠んだのは我が親愛なる讀者諸嬢諸氏にもご存知のとほり。 その奈良まほろばを背景に、さだまさしは愛慾を唄つた。…

609 オトゥールと八百屋

伊丹十三の本で讀んだ話を(原物が見当らないから)、記憶で書く。かれの知人…確かアイリッシュの俳優。ピーター・オトゥールだつた気もするが自信はない…の祖父は、パーティに行つた時、議論を秘かに樂んでゐたといふ。議論と秘かは結びつかない気もするけれ…

608 あのバーの思ひ出

某所にバーがある。おそろしく判りにくい場所にあつて、初めて訪れた時は、どこをどう歩いたものか、自分でもはつきりしなかつた。そのバーはハイボールを得意にしてゐて、我が親愛なる讀者諸嬢諸氏よ、笑つてはならない。ヰスキィとソーダと氷を上手にブレ…

607 荒天を肴に

尊敬する吉田健一の文章でも特に「羽越瓶子行」が好きで(中広文庫の『汽車旅の酒』に収められてゐる)そこに 朝飯の途中で雨が降り出した(中略)この時の雨のように旅情を覚えさせてくれたものはなかった。もう誰も、本間美術館を見に行きましょうなどと言うも…

606 令和のリスナー

手元にICF-8といふソニー製のラヂオがある。テレ・ヴィジョンを持たない…某放送局に配慮して云へば、常用のスマートフォンにもその機能は搭載されてゐない…わたしにとつて、ラヂオを欠かすわけにはゆかない。 尤も普段はサイマル・ラヂオ…"らじるらじる"と"r…