閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

1074 GRデジタルⅡは游具的に

 これはどうしたつて(優劣は措いても)、GRⅢとの比較をせざるを得ない面がある。尤もどうしたつてGRデジタルⅡに勝ちみはない。とは云へ、勝ちみが無いから駄目とも限らず、書き出しから迷つてゐるなあ。

 ひとつ、GRⅢに優る点を挙げれば、僅かながら小さくかるい。大きさと重さ、それから形状…嵩張り具合が(GR系統に限らず)、見過せないカメラの性能と考へれば、ここは喜べる部分だと思ふ。

 もうひとつ、近接撮影から無限遠まで、切り替へ無しで使へることも挙げておかう。GRⅢでは出來ないことに気づいた時は驚いた、但しこの点は、自動焦点の速度と交換だから、無邪気には喜びにくい。

 動作の速さ。

 その正確さ。

 叉強力な手振れ補正の効果は、GRⅢの優位…圧倒的で決定的な優位であつて、前述の二点くらゐでは、太刀打ちが六つかしい、といふより不可能なのは、改めるまでもない。

 ここで冒頭に書いたことを繰り返すと、だからGRデジタルⅡは駄目なのだ、とはならず、その理由乃至事情を考へるに、GRデジタルⅡを気に入つてゐるといふ、まつたく単純で私的な事情に辿り着く。

 ぢやあ気に入りの理由は何だとなるのは当然なのだが、そんなことは解らない。ただ初めて手に入れた時、良くも惡くも夢中になつたのは間違ひない。記憶を遡るとそれは、撮るのと同じくらゐ、游具的な樂みもあつた。そこで思ふのは、今手元にあるGRデジタルⅡでは、游具的の部分がきつと大きいのだらうといふことで、游具ならば便利…高機能は大事な要素と呼びにくくなる。話を拡大するなら、GRデジタルⅡとGRⅢは、同じ系統のカメラでありながら、(私の中の)位置附けは丸で異なつてゐる、と云つてもいい。であればこの際、不便面倒(あくまでもGRⅢに較べての話だが)も含め、游具風に扱ふのが、今のGRデジタルⅡとの好もしい向き合ひ方かも知れないと思はれる。