閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

672 次を待つ~ワクチン記

九月二日(木) ふと気になつて、自衛隊の大規模接種予約ページにアクセスをしてみる。 地域番號。 券の番號。 生年月日。 この三点が必須の情報になるのだが、"予約出來る日程が無い"とエラーが返つてきた。 大規模接種の予約は二回分をひと纏めにするから、…

671 曖昧映画館~陰陽師

記憶に残る映画を記憶のまま、曖昧に書く。 この映画の舞台は、怪異が人びとの隣にあつた時代。 平安の頃、惡霊や鬼は、疫病や天災と同じく現實的な問題であつた。佛教がもてはやされたのは、悟りなどの観念ではなく、土着の(宗教的な)技術では効果が薄まつ…

670 漫画の切れ端~スケバン刑事

記憶に残る旧い漫画の話。 十台終りの数年、少女漫画に熱中した時期があつた。川原由美子や山口美由紀、坂田靖子、柴田昌弘。中でも和田慎二は別格で、『スケバン刑事』をかれの代表作のひとつに挙げても異論は出まい。 前提は滅茶苦茶である。 主人公の麻宮…

669 好きな唄の話~冬の二人

男と女がゐる。 終りを迎へるだらうふたり。 はつきりしてゐるのは、男…この唄の視点でもある…が女を眞冬の海に誘つたこと。 女が海辺で、"このままぢやあ、ふたり、だめになる"とだけ、呟いたこと。 風が吹く、たれもゐない冬の海で。 ただそれだけを小田和…

668 葱と天かす生卵

この一文をものしてゐる現在、外でめしを喰ふのは憚られる。流石に石を投げられる心配は無いけれど、何とはなしに遠慮しなくちやあならない気分や雰囲気がある。ひとりでふらつと、麦酒ともつ煮と串焼きで半時間呑むくらゐなら平気だらうと理窟は浮びはして…

667 画像が無いマカロニ・サラド

常用のスマートフォンではカメラの機能を使つて、食べたもの飲んだものを冩す習慣があるのは、以前から何度か触れてゐる。お行儀が惡いのは知つてゐるのだが、習慣になつてしまつたし、記憶の代用でもある。なので今から止めるのは中々六づかしい。我が親愛…

666 海内無双に義理を立て

大根おろしがうまいと自覚した切つ掛けは、尊敬する丸谷才一の随筆で何度か、その旨さを讚へてゐたからで、天麩羅屋は大根おろしを存分に食べられて嬉しいとか、湯上げした鰰を、大量の大根おろしと醤油で食べる幸せだとかを讀んだからにちがひない。鰰はハ…

665 曖昧映画館~トゥルーライズ

記憶に残る映画を記憶のまま、曖昧に書く。 アメリカは時々、莫迦ばかしいくらゐの大金を掛け、信じ難い手間暇を掛けて、とんちきな映画を撮る。ジェームズ・キャメロンがアーノルド・シュワルツェネッガーと組んだこの映画を、その一本…寧ろ代表格に挙げて…

664 漫画の切れ端~クレイジーピエロ

記憶に残る旧い漫画の話。 戰争は終つた、らしい。 どちらが勝つたのかは、判らないけれど。 伝説がある。 道化師の姿で、長剣をふるふ、銃を持つ兵隊より速く強いたれか。 或はなにか。 それがピエロ。 高橋葉介が最初に考へたのは、多分それだけで、その伝…

663 好きな唄の話~番外篇

この稿では一回につき一曲、出來るだけ別のひとの別の唄を取り上げるのを原則にしてゐる。なので全体で完成してゐるライヴ・アルバム…たとへばディープ・パープルの『LIVE IN JAPAN』や佐野元春の『HEARTLAND』、甲斐バンドの『PARTY』…は中々あげにくい。こ…

662 途中経過~ワクチン記

八月念四日(火) 晝に買置きの飲むゼリーを試す。 まづくないのはいいとして、"スポーツ・ドリンク味"つて何だらうと思ふ。 午后に入つて左腕(ワクチンを射つた方)を持上げると、やや重く感じられる。 検温三度、いづれも平熱。 八月念五日(水) 朝検温、微熱(…

661 雲

スマートフォンのカメラ機能は撮つた後、色々と弄れるのが便利でいい。生眞面目な愛好家に云はせたら、きつと邪道の樂みなのだらうが、それはそつちの都合である。わたしとは関係が無い。 勿論カメラに較べて機能が及ばない部分は少くない、といふより、(生)…

660 懐かしの酒席

厚揚げはたいへん便利だと思ふ。焚き合せていいし、炒めものに入れるのも旨い。厚揚げ自体がうまいのは勿論、出汁やら調味料、あはせる様々な食べものの味まで巧みに受けるからだと思へる。 鶏肉と青菜と厚揚げを薄味でさつと焚いたのなんて、嬉しいですな。…

659 接種初回~ワクチン記

八月念一日(土) 副反応がどうなるか解らないし、何が必要になるかも判然としないまま、スポーツ・ドリンクと飲むゼリーを買ふ。 即席のソップは買置きあり。 軟かくて甘い麺麭、おにぎり、レトルトのお粥やカップ麺の類もあつた方がよささうに思つたが、そつ…

658 お好み焼タイム・マシン

お好み焼の話を書かうと思つた。かういふ場合、わたしは先づ、現代のお好み焼のご先祖さまはいつ頃、生れたのかをざつと調べることにしてゐて、どうやら戰前の一錢洋食と呼ばれた駄菓子がそれらしい。小麦粉を水で練つて、薄く延ばし焼き、ウスター・ソース…