閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

536 怪人登場

そぼろピーマンを掻き分け現れた怪しい姿 正義と平和を護るわたしが平らげてやつた

535 盆栽小鉢

小鉢や小皿に盛られた料理は旨さうに思ふ。三種類くらゐが纏めてお盆に乗つて出されると、贅沢が詰つた感じがして、嬉しくなつてくる。若い胃袋には奨めにくいけれど、それは若い胃袋の所為だから、わたしにはどうにもならない。 かういつた供し方は外ツ國に…

534 我儘拉麺

若い頃…と云へる年齢になつて何年経つたものか…は、呑んだ後にラーメンを啜ることが少からずあつた。夜中に開いてゐるラーメン屋なんて、大してなかつたし、そもそもが醉つてゐるから、旨いもまづいも判らなかつた。味を覚えてゐないのだから、特段に旨くも…

533 曖昧映画館~レッド・オクトーバーを追え!

記憶に残る映画を記憶のまま、曖昧に書く。 先日…令和二年十月晦日にショーン・コネリーが亡くなつたといふ報せを目にした。古参の映画好きにとつては、英國スパイ、ジェイムズ・ボンドと思ふが、わたしはロジャー・ムーアのボンド世代である。記憶にあるコ…

532 番附け

我われのご先祖…江戸人は番附け作りが好きだつた。櫻の名所やごはんのお供のやうに眞つ当なのから、お茶屋の娘、果ては遊女番附けといつた怪しからぬものまで、何かといへば作つてゐて、あれは大した工夫だつたと思ふ。 云ふまでもなく番附けは相撲からの応…

531 帰り路

陽が落ちる前 街に灯が点り 空は紅のいろ 灯は乳のいろ 月の影星の姿 三分間待たう

530 ごく当り前の

糵または萌やしとも書くが、この稿では馴染みのあるもやしで通す。現代では大豆と緑豆、それからブラックマッペから生育…栽培されるさうで、成長がはやく、通年育つ分、マーケットに廉価で出廻るのだといふ。確かにひと袋(二百グラムとかそれくらゐ)で、卅円…

529 ナマ煮え

松平治郷。出雲松江のひと。十八世紀頃の大名で、法號を不昧といひ、不昧公とも呼ばれる。政治家としては三流…二流が精々だけれど、茶人として第一級の高名であつた。あつたと過去形にするのは誤りかも知れない。 その不昧公が好んだらしいのが鯛めし。一種…

528 判子

ニューズはちらちらとしか見ない。そのちらちらの中で、判子への痛烈な非難が最近ちよつと気になつた。曰く、ただの形式である。曰く、紙と時間の無駄である。曰く、電子化すれば解決する。 成る程…分らなくもない。 それで判子の業界が猛烈に反發してゐるら…

527 つき出し考

呑みに行かうと思ふ時、重視するのは肴…つまみが旨いことで、まあ、当り前と云へば当り前の話でせうな。お酒の品揃へがもうひとつでも、つまみが旨いお店なら、お酒の味もよろしくなるといふものだ。 そこで好きな店、詰りつまみの旨い店を幾つか思ひ出して…

526 猫と鮨

出前はきつと。 ばら寿司専門。

525 曖昧映画館~レッドブル

記憶に残る映画を記憶のまま、曖昧に書く。 バディものと呼ばれる映画がある。『48時間』や『リーサル・ウエポン』を出せばいいか。或は変形として『ダイ・ハード』と『ビバリーヒルズ・コップ』も挙げておきたい。基本的な構造は眞面目…といふより堅物の黑…

524 好きな唄の話~An die Freude

九曲あるベートーヴェンの交響曲で、一ばん有名なのは、最後の第九番だと思ふ。都市伝説だと、コンパクト・ディスクの収録時間(おほよそ七十四分)は、カラヤンが棒を振るベルリン・フィルの演奏時間にあはせたといふが、まあ嘘…伝説でせうね。似つかはしい気…

523 夕陽いろの生姜焼き

豚肉の生姜焼きならまづい筈はない。 田中宏といふ人物がゐる。安政六年生れの薩摩人らしい。獸医學博士。東京帝國大學教授。専門は家畜の解剖學と養豚の技術。随分と喰ひ意地の張つた學者らしく、大正二年に『田中式豚肉調理二百種』と題した本を出版してゐ…

522 ピリ辛気分

お品書きには"玉子と春雨のピリ辛煮"とあつた。お晝の定食。旨さうである。併しわたしはお箸の扱ひが致命的に下手であつて、さてどうするか、悩ましい。 緑豆などの澱粉で作つたのが春雨なのださうで、かういふ工夫に熱心だつたのは云ふまでもなく昔の中國。…