閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

917 令和最初の甲州路-雨天晴天(後)

窓から見た空は薄暗かつたけれど、雨に祟られる気配は感じられなかつた。前日に買つてあつた穴子のお寿司とアサヒのエフ。頴娃君とは遠隔式で朝の會を始めたが、どういふわけだか、東横インのWi-Fiに繋がらない。本体の再起動やSIMカードの挿抜で直らなかつ…

916 令和最初の甲州路-雨天晴天(中續)

勝沼ぶどう郷驛でタキシを降りると、甲府行各驛停車が出たところだつた。うまく乗れればいいと思つてゐたのだが、止む事を得まい。尤も次の電車は一時間後である。雨がざぱざぱ落ちる中、うろつくのは無理がある。それに一時間後とは云へ、元々乗る予定の電…

915 令和最初の甲州路-雨天晴天(中)

勝沼ぶどう郷驛で下車した頃には、雨は本降りとなつてゐた。ニューナンブが目指す[まるき葡萄酒]は、雨の中を歩ける距離ではない。うんざりした。タキシを使はざるを得ないかと思つた。驛舎内の観光案内所に入り込んだ頴娃君が 「十分かそこらで、巡回バスが…

914 令和最初の甲州路-雨天晴天(前)

皐月の十八日。木曜日。頴娃君から聯絡が入つた。翌日からの"甲州制服襲學旅行"初日に予定してある、勝沼は[ぶどうの丘]が 「臨時休業になつてゐる」 とのことで、危ふくフォーレター・ワードを口走りさうになつた。私は紳士だから我慢した。それに臨時休業を…

913 莫迦の骨頂

新潮文庫の何だつたか、池波正太郎に話を聞く形式で編輯した一冊があつた。その中で小説家は、大坂の人間が、東京の饂飩をくさす…あんなモン、黑いしからいし、喰へたモンやあらへン…態度を指して、 ああいふのを 「莫迦の骨頂といふんです」 豪快な殺陣のやう…

912 好きな唄の話~VoltesⅤ no Uta

『超電磁マシーン ボルテスⅤ』といふアニメイションがあつた。フィリピンに輸出され、絶大な人気を誇つたといふ。後年、主題歌を唄つた堀江美都子さんが同國を訪れた際には、"丸で國賓のやうな"歓迎を受けたさうだから、ある世代以上の年齢層にとつて、強い…

911 曖昧映画館~The IDEON

記憶に残る映画を記憶のまま、曖昧に書く。 テレ・ビジョン用アニメイション『伝説巨神イデオン』を編輯した"接触篇"と、それ以降を描く"発動篇"の二部構成になつてゐる。 ある星で、異星人同士が不幸に出会つた結果、かれらは相食み、戰ひ、死んでゆく。結…

910 GRⅢでも使へる棒

一脚が慾しくなることがある。 買つてどうすると訊かれたら、こまるけれども。 いや事情が無いわけではない。 何しろ私はヘルニア持ちな上、どうかすると膝まで痛くなる男なので、一脚が杖の代用になると思ふのだ。自由雲台を附ければ、GRⅢでも使へるし。 順…

909 キヤベツと時間

時々足を運ぶ小さな呑み屋の品書きに、"塩キヤベツ"がある。塩揉みではない。ざくざく切つた生のキヤベツに薄切りの葱を乗せ、白胡麻を散らして、胡麻油と大蒜でどうかしたたれを掛けたのに、塩昆布をあしらつてある。 美味、とは云ひにくい。併し味の濃いお…

908 チャシュウ

尊敬する吉田健一はチャシュウメンと書いた筈だが、この稿では叉焼麺とする。このちがひは、好みに属することと思つてもらひたい。 滅多に食べない。 当り前の醤油ラーメンで十分だし、普段の私なら、醤油ラーメンよりきつねそばを註文する。叉焼麺の場合な…

907 乾盃の前に

お腹を空かせて呑むのは感心しない。ごくわかい頃、空腹をかまはず呑みすぎて、酷い目にあつて以來、お酒の横には食べものを欠かさないのが習慣になつた。過日、ふらと入つた(一応は馴染みと扱はれてゐるらしい)立呑屋でおにぎりを見つけ、嬉しくなつたのに…

906 令和最初の甲州路-修正と課題

前回の打合せは充實したものだつた。が、ひとつ、ちよつとした見落しがあつた。頴娃君から 「往路に乗る積りのかいじ號は、平日の運行だと、勝沼に停車しない」 と報せがあつたんである。仕舞つた。確かに元々は土曜日からの二泊予定で、それを金曜日からに変…