閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

926 何十年後かのサーディン

今は知らないが、幼い頃に観てゐた『セサミストリート』は、日本語吹替へではなかつた。それでも面白かつたのは、施された英語教育の賜物、ではなく、出來の佳い番組だつたからである。アーニーとバート、ビッグバード、クッキーモンスター、カウント伯爵は…

925 辛いお味噌で

過日、久し振りに馴染んだ(筈の)呑み屋に足を運んだ。我ながら珍しく空腹を強く感じたので、壜麦酒と一緒に、串焼きの六本盛合せを註文した。普段なら塩とたれで三本づつ、出してくるが、ここは辛味噌でも焼く。思ひたつて 「塩とお味噌で焼いてもらふつて、…

924 趣味の惡い態度

今からフヰルム式のカメラを買はうと思ふひとがゐたら、先づ私は止める。フヰルムは恐ろしく高額だし、現像にもプリントにも時間とお金が掛かる。要は御大尽の趣味道樂になつてゐて、さういふ贅沢も含めた游びは兎も角、当り前に冩眞を撮りたいなら、断然デ…

923 完成まで

鶏もつ煮といふが、ざつと調べたら、"醤油と砂糖で甘辛く照りつけ"る調理法であつた。所謂もつ煮とは所属が異なつてゐる。用ゐる臓物は心臓や肝の類。棄てるのは勿体無い、どうにかならんかと工夫した結果、完成に到つたといふ。山梨県や甲府市のウェブサイ…

922 移る

ところでここ最近、串焼きの好みが塩に移つてきた気がしてゐる。理由や切つ掛けが何だつたのか、自分でもよく解らない。云つておくと、串の塩焼きをきらつてゐたとか、そんな事情があつたわけではない。不見転で入つた呑み屋で、串焼きを頬張らうとするなら…

921 漫画の切れ端~花の慶次

記憶に残る旧い漫画の話。 原案は隆慶一郎の『一夢庵風流記』で、この小説が抜群に面白い。それを『北斗の拳』の原哲夫が、少年漫画に置き換へた。少年漫画だから、小説で描かれた際どい場面はすつぱり、切り捨てられてゐる。 慶次郎前田慶利大は、戰國の末…

920 令和最初の甲州路-雨天晴天(余)

一ばん最初は、一回で纏める予定だつた。 無理と判つて、二乃至三回に分けることにした。 (前)(後)でも、(前)(中)(後)でも対処出來る筈だから、(前)で始めたが、あまかつた…かなり削つたんだけどなあ。 時系列はおほむね、書いた通りである。葡萄酒藏のお三…

919 令和最初の甲州路-雨天晴天(終)

早鮓とお惣菜を二品("ふたつで五百円"の特賣)、クリームチーズ、ダルグナーのヴァイツェンとピルスナー、翌朝用の助六と春雨のサラドを買つた。お摘みは前夜の残りもあるから、これくらゐで十分である。序でに使ひ捨てのプラスチック・カップ(十五個入りで透…

918 令和最初の甲州路-雨天晴天(後續)

お晝に何を食べませうかと、車中で話し合つた。目星をつけてゐた地麦酒のお店の開店が、次の予定とあはないと判つたから、次善を決めねばならない。かういふ時に頴娃君の調べは素早くて 「ここがあるです」 洋食屋の情報を寄越した。珍しい。併し葡萄酒を味は…