2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧
この手帖を歴史的仮名遣ひで書くのは、尊敬する丸谷才一の影響…眞似である。丸谷が歴史的仮名遣ひを用ゐるに到つたのは、和歌集の評論を著す際、現代仮名遣ひで地の文を書くのが馴染まないと感じたからだといふ。本人の随筆で讀んだ筈だが、手元で直ぐに確か…
過日の夜、某所の立呑屋。 後から入つてきたお客さんが、所用で高知に行つたのですと、お土産…クラッカーと壜詰とビニール袋を持つてきた。何だらうと思つたら 「ちよつと面白い食べ方がありましてね」 さう云つて、壜詰は酒盗(ラベルには"高級品"とあつた)で…
子供の頃…ざつと四十年余り前、クリーム・シチューは御馳走だつた。豚肉、馬鈴薯、玉葱、人参が入つてゐた。底が広く、淺いお皿で出てきて、バゲットを焼いたのが添へられてゐた。祖父母と同居してゐた家なので、洋風の食べものが登場する機會はそんなに多く…
廉で旨いハムカツは好物なのだから仕方がない。 分厚すぎるハムはいけない。ハムカツの主役は寧ろ衣であつて、その衣に肉の香りと味はひ、歯応へを与へるのがハムの役割である。だからハムは必要だけれど、必要以上の存在感があつてはならず、この辺は厨房の…
寛永年間といふから、十七世紀の中頃…江戸時代の初期に両國は藥研堀で生れたらしい。因みに云ふ。藥研とは藥剤を粉末に挽き、或は擂り潰すための道具。お堀の名前になつたのは、その形状が道具に似てゐたからださうな。 唐辛子。 焼き唐辛子。 山椒。 麻の實…
稲荷寿司と巻きものを一緒にして出すのを助六と呼ぶ、と知つたのはいつだつたか。 稲荷寿司と巻きものなのは、助六の愛人が揚巻だから、と知つたのはいつだつたか。 どちらもすつかり忘れてしまつたが、洒落と捻りの利いた名附けだと思ふ。念の為に云ふと、…
日本國際ギデオン協會と日本聖書協會による『聖書』に目を通してゐる。我が親愛なる讀者諸嬢諸氏の為に念を押すのだが、信仰に目覚めたわけではない。偶さか手元で見つかつた丈のことである。これも偶さか、久しぶりに観た『ガメラ2 レギオン襲来』に 「我ら…
令和四年の終り頃、母親がスマートフォンを手にした。かんたんとからくらくとか呼ばれるやつ。手指の荒れが激しいのに、フリックといふのか、あの操作をどうするのかと思つてゐたら、キャリアが寄越したらしいタッチペンと呼べばいいのか、あれを使つてゐた…
コンビニエンス・ストアやマーケット、或はおにぎりを専門に扱ふお店のおにぎりを不意に食べたくなる時がある。専門店はまだしも 「マーケットやコンビニ程度の量産型おにぎりが、そんなに旨いものかね」 と冷笑を浮べられたら、まあその通りだと応じるけれど…
先日、新大阪から東京まで、東海道新幹線に乗つて、玉子のサンドウィッチと罐麦酒をやつつけた。やつつけながら、新幹線に一ばん似合ひの組合せではないかと思つた。こだま號なら知らず、のぞみ號は 「高速に移動する為の手段」 の色合ひが濃くつて、ゆるゆる…
物慾の話ですよ、要するに。 第一番にリコーのGRⅢを挙げるのは云ふまでもない。小さくてかるく、寄つて撮れて、フラッシュを内藏してゐない。現時点の私にとつて、最良の撰択であると信じてゐる。 ぢやあ他にあるのかと、さういふ疑問が浮んで、それがどうも…
東へ、下らねばならない。 昨年末、母親がからだの調子を崩し、万全に戻つてゐるわけではないから、どうにも落ち着かず、さてどうするかと考へた。予定通り東下するなら、午前中に出立となる。時間の許す限り、様子を見ることに決めた。 「さうは云つても、仕…
手帖は例年、高橋書店のを買ふ。 今年贖つたのはリシェル2といふやつで、ほぼ文庫本と同じ大きさをしてゐる。気になるひとの為に附けくはへると、月曜日始り、両面で一週間の横罫。 以前にも触れた記憶があるんだが、私が手帖を使ふ目的は時間の管理といふよ…
令和四年師走廿八日。 エヌから聯絡が入つた。翌廿九日に会つて游ぶ予定だつたのが、奥の方が武漢發と思はれる感染症の陽性判定が出て 「濃厚接触者になつてしもた」 さうで、単身の赴任先から帰れなくなつた、すまん延期したいと云つてきた。エヌの責任でない…
春は長閑けき お餅は焼けて お屠蘇は美味 我が親愛なる讀者諸嬢諸氏に、 謹んで新年の御挨拶を申し上げる。