閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

879 餃子の話

ある日突然、[王将]の餃子が食べたくなった。 なので出掛けた。 [王将]は"餃子を摘みに麦酒を呑む場所"である。 だから食べるタイミングが六つかしい。 おれにとっては、だが、そう云い切っても、わりに同意を得られると思う。 その衝動を感じたのは、休日の…

878 バイキングの話

辞書的に云えば ・八世紀から十一世紀頃にかけ ・漁撈と商業と海賊行為と傭兵商賣を主な営業品目にした ・スカンディナヴィアの海洋集団 をバイキングと呼ぶ。そのバイキングの故地(のひとつ)であるスウェーデンの食事形式にスメルガスボードがある。元の音…

877 迷惑な話

御行儀が惡いのは承知しているんだが、汁かけごはんが好きなんである。 お茶漬け、お味噌汁かけは勿論、水炊きの後に器に残ったおつゆや鋤焼きの後の溶き卵、おでんのつゆに煮抜きの黄身をとろかしたの、或は野菜炒めや回鍋肉のお皿に余ったの…そういうのを…

876 鶏の皮の話

ここ最近、ちょいと顔を出す呑み屋がある。陋屋から歩いて十分かそこら。元々は立ち喰い蕎麦屋だったのが、いつの間にか開店していた。何かの弾みで入ったら、お酒も摘みも客あしらいも値段もまずまずだったので、気が向いたら足を運ぶようになった次第。そ…

875 計劃に纏わる話

折角、生麦まで麦酒を呑みに行くのだから、カメラを持ち出そうと思う。撮るかどうかは別の話として。前々からリコーのGRⅢが慾しいと思っている。思ってはいるが、この稿を書いている時点では買っていないから、候補には入らない。 GRデジタルⅡを持ち出すこと…

874 計劃を打合せた話

世の中には使いたくないけれど、使わざるを得ないアプリケーションがあるもので、おれの場合、LINEがその位置を占める。理由までは踏み込まない。併し打合せには便利なのは認めなくてはならず(おれは公正な男なのだ)、そのLINEで頴娃君との打合せに臨んだ。 …

873 計劃を立てるまでの話

文久二年陰暦葉月廿一日、京へ向かう薩摩國島津久光一行の行列に、四人の騎行した英國人が乗り入れてきた。まずい組合せだった。当時の英國は世界一の大帝國…しかも傲岸で尊大な…だったことがひとつ。薩摩は薩摩で当時、日ノ本六十余州随一の武装集団だった…

872 赤いあれの話

ソーセイジに就て先ず遡ったところから云うと、我が國での始りは判然としない。文献上では明治廿五年に發行された『農業製造篇』の"燻腿、燻肉、及腸詰製造法"の記述が一ばん古いらしい。著者は農學博士の今関常次郎。國會図書館のデジタル・アーカイヴに収…

871 呼び水の話

慾求を刺戟するのと同時に、麦酒を聯想させる食べものの双璧といえば、焼き餃子と鶏の唐揚げである。ミンチカツは勿論、鯵フライや烏賊リングやコロッケ、或は焼き鳥のたれだって、麦酒の素晴しい友なのは、改めるまでもないが、慾求を刺戟する点で云えば、…

870 かつ丼の話

カツ丼より、かつ丼と書く方が美味そうな字面に思う。カツレツの丼めしなんだから、カツ丼だろうと云うひともいるだろうし、尤もな指摘なのも認めるけれど、これはもう好みのちがいと諦めてもらいたい。 勿論ここで云うのは、とんかつ(矢張りひらがな表記が…

869 廉な呑み屋での話

某日、久しぶり…半年余りは空いていたと思うのだが…某所の呑み屋に足を運んだ。チェーンのごく廉価な呑み屋。そこの店長がスポーツ好き野球好き(熱心な西武ライオンズのファンでもある)で、そういう話をしたくなったのだ。 「や。お久しぶりですね」 お店に入…

868 忘れていたカメラの話

がらくた函の中にXR-7MⅡがあったから、少し驚いた。 忘れていたんである。 知らない讀者諸嬢諸氏が大半だと思うので簡単に云うと、平成五年にリコーから發賣された、絞り優先の自動露光が使える、Kバヨネット・マウントで、マニュアル・フォーカスの銀塩一眼…

867 お摘みの話

呑む時にはお摘みがないと落ち着かない。尊敬する吉田健一は晩年、珍味佳肴を前に盃を重ね、どうぞお召し上りをとすすめられても 「大丈夫です。見れば美味いのは解ります」 さう云って殆どお箸をつけなかったそうで、喰いしん坊もここまで到ると、羨ましくな…

866 "便利"の話

麦酒は便利である。たいていの食べものに適うんだもの。呑みものに迷った時なら、ひとまず麦酒を撰んでおけば、安心出來る。と書いたら、我が親愛なる讀者諸嬢諸氏から 「"便利"って、ちょいと惡意が感じられるな」 と云われそうな気がする。三人くらいはきっ…