閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

1456 触れるまで、我慢

去る重陽の節句、OMデジタルソリューションズ社…ここからはOM(社)と略す…が、新機種ーPENを公式に發表した。少し前からティザーを出し、その少し前から、OMが新機種を出す噂も目に入つてゐた。 OMのプレスリリースは以下。 https://jp.omsystem.com/informat…

1455 酒席の最初が豊かなハムカツ

ハムカツとは暫く御無沙汰してゐる。 たつぷり食べたいとは思はないけれど、一枚か二枚あれば、酒席の最初が豊かな感じになる。 ところでフライやカツレツの類は、何で味を調へるかが、六つかしい。 ウスターソース。 タルタルソース。 醤油。 味つけぽん酢…

1454 ふとの牛丼

ふと思ひついたので、牛丼の話をする。 明治になつて、完成したと考へていい。 調べないままに書くのだが、原型は牛鍋に遡れるのではなからうか。その牛鍋は確か、江戸末期の横濱辺で成り立つたと記憶してゐる。くぢら狩り組合のお先棒を担がされた海軍軍人…

1453 驚くなかれ五百円

白身魚のフライがふたつに、ミンチカツ。 勿論その場で揚げてくれたやつ。 キヤベツとトマトと貝割れ大根。 練り辛子にオリバーソース。 これがたつたの五百円なのだ、もつと儲けたつていいぢやあないかと思ふ。 空腹の夜のオリオンビールに、これほど嬉しい…

1452 沢蔵主の天麩羅蕎麦

かういふ物事の發祥は、諸説が重なり、且つ曖昧なのは、我が親愛なる讀者諸嬢諸氏にも十分、御承知だと思ふ。天麩羅蕎麦の話。 日本麺類業団体連合会 / 全国麺類生活衛生同業組合連合会といふふたつの團体が運営する、[麺類雑学事典]でも、天麩羅蕎麦は取り…

1451 記號に就て

この手帖を書くにあたつては、大きな方針が幾つか、ある。第一には、カタカナ言葉を出來るだけ、用ゐないこと。第二に、略語は極力、控へること。第三に、六つかしい漢字は、遠慮せず使ふこと。第四として、絵文字は使はないこと。最後に記號を使ふのは、必…

1450 どうにもよく判らん“e”

ライカに就ては、この手帖で何度か触れた。それで今回は、どうもよく判らんなあと思つてゐることを書く。 先づレンズの距離合せと、距離計の動作を繋げた…距離計聯動式のⅡ型があつた。 Ⅲ型ではそこにスローシャッターを組込んだ。 Ⅲa型で最高速に千分ノ一秒…

1449 座頭ノ饂飩

東都の立ち喰ひで、饂飩は滅多に啜らない。 すりやあ丸太は、大坂育ちだから…と云はれたら、さうだけれど、もつと簡単に、この町では、蕎麦の方がうまい。尤も蕎麦が東京…江戸の顔になつたのは、そんなに古くなかつたらしい。たとへば座頭市の映画…江戸時代…

1448 安呑み屋での焼き餃子

まあこれは、まるきり外題のとほりの話。 廉な呑み屋の品書きに、焼き餃子を見掛けることは多くない。残念である…ではあるが、準備や何やがきつと面倒なのだらう。だから見当らなくたつて、苦情は口にすまいと決めてゐる。その代り、目に入れば躊躇なく、遅…

1447 暑い季節の似合ひもの

暑い季節には、暑い土地の食べものがいい。 これは尊敬する檀一雄から教はつたことで、世の中に数少い眞實のひとつだと思ふ。 たとへば苦瓜のちやんぷるー。いつ食べても美味いけれど、残波やオリオンと一緒に、あの獨特の苦みを満喫したいなら、どうしたつ…

1446 串焼きと早鮓

ある晩…正確には夕刻。暫く足を運んでゐなかつた串焼き屋に潜りこんだ。人気のあるお店らしいから、名前は出さない。 壜麦酒。 冷奴。 串焼きはおまかせの五本。 後で白茄子と長芋を追加。 ここのおまかせは、盛合せではない。レヴァやセセリやネギマを、一…

1445 格と味

揚げもの界を俯瞰すると、どうやらチキンカツの地位はひくい…と思はざるを得ない。 カツレツの視点で見れば、とんかつが圧倒的、ミンチカツとビフカツが辛うじて續き、チキンカツの入りこむ余地は(残念ながら)見当らない。 ぢやあ揚げた鶏肉に限ればどうか。…

1444 そんな位置

二六時中、摘みたいわけではないのに、目の前に出されると、どうにも食べ續ける…續けてしまふ食べものの代表格に、枝豆をうでたのを推奨して、異論が呈せられる可能性はひくいと思ふ。枝豆好きの讀者諸嬢諸氏は、少からぬ数だらうが、だからと云つて 「けふ…

1443 盛夏の西上東下

父を見送つて半歳が過ぎた。 西に上らねばならない。“ねばならぬ”が、適切な言でないとは承知してゐるが、盛夏の西上だもの、愚痴めくことを云つても、親父どのは勘弁してくれるだらう。 法事に伴ふ御住職の來宅は葉月の十日である。 西上はそれにあはさねば…

1442 掻きて揚げる

ここ暫く、掻き揚げを食べてゐない。マーケットのお惣菜は勿論、立ち喰ひ蕎麦でも、丼ものでも。要するに暑いからで、掻き揚げだけでなく、鯵フライや鶏の唐揚げやハムカツとも無沙汰をしてゐる。まあこの稿では、掻き揚げを取り上げませう。 様々な種ものを…

1441 匙を使ふ

鍋にたつぷりの水を張つて。 玉子を入れ弱い火を点ける。 火は最後までごく弱いまま。 沸騰してきたら火は止める。 水は入れず冷めるまで待つ。 丸太式うで玉子の作り方はこれで、堅茹でになるのは云ふまでもない。そしてうで玉子は堅茹でに限る、と信じて疑…

1440 具合のいい蕎麦

暑くなると食慾がなくなる。 そもそも食が細くなつても不思議とは云へない年齢なのは確かとして、併しこの二年か三年、その落込み具合が大きくなつてゐるのも、また事實なんである。更に脱水を起し易くなつてもゐるらしい。お茶や水を無闇に飲んで対処する。…

1439 似てゐる気もする海苔辨當

白いごはんに、醤油をまぶしたおかかを敷き、その上に焼き海苔を被せる。 その上には更に、白身魚のフライ。 ※竹輪の磯辺揚げでも、まあ宜しい。 横つちよに金平牛蒡。 ※昆布の佃煮も叉、嬉しいものだ。 隅には何だかよく判らない桃いろのお漬もの。 これが…

1438 曖昧映画館〜メジャーリーグ

記憶に残る映画を記憶のまま、曖昧に書く。 観た記憶のあるアメリカの野球映画では、『フィールド・オヴ・ドリームス』が、一ばん好きなのだが、莫迦ばかしくつて愉快な一点で、この映画はそれを凌ぐ。 筋立ては實に下らない。 弱小球団が、賣却の危機を目の…

1437 気紛れ

GRⅢが私の主力寫眞機である。とは、何度となく云つてゐる。その前の主力は、パナソニックと、(OMデジタルソリューションになる前の)オリンパス、詰りマイクロフォーサーズ機。 そのマイクロフォーサーズ機群…以下M4/3と略しますよ…はここ暫く、殆ど使つてゐ…

1436 胸痛碌(15)一応の、区切り

令和七年五月の入退院から一年余。 どこかに不安の欠片が残つてゐるのは本音として、日乗を送るのに、一応は不便を感じない。 尊敬する内田百閒には、信頼厚い主治医のお医者さまがゐた。随筆で何度か、その遣り取りを讀んだ記憶がある。百閒先生は、善良な…

1435 夏が來た

この数年、私にとつての夏の始りは、都内中野で催される、ちやんぷるーフェスタへ足を運ぶことだつた。冒頭から過去形なのは、令和八年のちやんぷるーフェスタが、神無月へと移つたからで、これでは夏が始らない。こまる。夏ー暑い季節は、無くてもかまはな…

1434 暑い季節に有難い

以前から何度も触れた記憶はあるんだが、気にしないで書きますよ。何しろ暑い季節、あれこれを纏めて食べられて、旨いのだから。詰り冷し中華。 この稿では、醤油を基にしたたれを用ゐたのを、冷し中華と呼びますよ。偏見含みで云ふなら、胡麻たれは畢竟、亞…

1433 洋食化の後と前

ベルリンから見ると北西、ドイツぜんたいでなら北の端つこに、ハンブルクといふ都市がある。街としては千二百年余の歴史を誇る。欧州史に興味があれば、ハンザ同盟の一角を担つた大都市。プロレス好きにはカール・ゴッチ、天文好きにはヨハン・ボーデ、藝術…

1432 たまの気まぐれの春巻

その気には滅多にならないけれど、たまの気紛れで口にしたら、妙に美味い食べもの…といふ分野があるとしたら、春巻は(確實に)上位を占めると思ふ。春巻の愛好者が、をられるのは当然として、“いやあ、三日も食べないと、何だか苛々してねえ”などと笑へるひと…

1431 雑ぜ煮

雑の字には、混ぜるとか混ぜあはすとか、そんな意味が含まれてゐるさうだ。詰り御雑煮は、混ぜ煮に近い意の料理…調理…食べものと云へる。さうなると、お味噌汁も豚汁も粕汁も、御雑煮の一種と呼べるのかと思へてきて、いやそこはちよつと待てと、自制心が働…

1430 ササヲタベル

何の小説だつたか、主人公に“酒を呑みたい”ことを、“酒…ルビはササ…を食べたい”と云はせるくだりがあり、えらく感心した。感心した理由までは、よく判らない。その小説は豊臣政権の末期が舞台。どうやら当時の酒は“ササ”と呼ばれ、また呑むのではなく、“食べ…

1429 理由ある物慾

製造開始は1967年。 初年の製造番號は1175001から1185000にかけて。 ※内百台はライツ・カナダ製。 ※但しこの番號帯は、“型と製造番號の予定表”に基づくから、事實と異る可能性は十分に考へられる。 ライカM4である。 現代のライカに續く源流…といふか、直接…

1428 即刻ニ、去レ

來る令和九年、十干十二支が巡る齢になる私だから、もう老人を称しても許されると思ふ。齢を経たことを自慢出來るの…加算は勝手に進むのに…は、腹の底のどこかに、儒教的な観念が潜んでゐる所為だらう。孔子さまには、恩も義理も無い筈なんだけれどなあ。 ま…

1427 使ひ分け

一年前から、日記を書いてゐる。 書いてゐると云つたつて、その日の天気と、何を食べたかと、買ものに幾ら遣つたか、くらゐ。ちよつとした記録みたいなものだから、たれだつて出來る。 卅年余前にも、書いてゐた。その時は日々の愚痴を記した筈だが、確かめ…