閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

233 買はないよ([232 これしか出來ない]の續き )

 どうもGF3を気に入つたらしい。

 何しろきはめてコンパクトな組合せである。

 本体にボディキャップ・レンズが2枚と充電器。

 これ以上増えるかどうか…仮に増えるとして、パナソニックの14ミリ/F2.5でなければ、オリンパスの17ミリ/F2.8程度だから、容積を考へれば、殆ど同じだらう。マイクロフォーサーズの主役機がGF1なのは、今のところ変更の予定はないから、その辺も一応は頭に入れておく必要はある。

 さて。これくらゐコンパクトになると、問題になるのは、GF3をどう持ち運ぶといふことで、意外に六づかしいから、驚いてゐる。廉価に入手したのだから、何かを買ひ足さうとは思はない。それで手元のがらくた箱を引つ繰り返すと、LOGO by hama のソフトケイスとシグマのポーチがあつた。どちらもボディキャップ・レンズの9ミリをつけて綺麗に収まる。15ミリの方は、UNのリアキャップ(両面式のやつ)をつけ、コンタックスG1のフラッシュ用ケイスに、充電器は無印良品の小物入れに入れた。

 ここまではいい…少なくとも惡くない。

 但しこれで解決ではなく、これらをどう持ち歩くのかといふ問題が續く。いやいや充電器まで持ち歩かなくたつていいでせうにと反論が出るだらう。正しい指摘だと思ふ。GF1だとそんなことは考へない。ただGF3だとミニマム(と云つても許してもらへるだらう)なので、全部を纏めたい慾求を感じて仕舞ふ。呆れられるにちがひないが、さういふ性分だから仕方がない。エツミのE-3139といふ小さなカメラバッグなら、すつきり収まるのは確かめたが、こちらは普段使ひの鞄にはふり込みたいから、即採用とは云ひにくい。

 悩ましい…まつたく悩ましい。

 ひとつに決める必要はないのだ、と居直る方法もあるにはある。併し居直り気分が残るのはどうも宜しくない。さう思ひながら、更にがらくた箱を引つ掻きまはすと、オリンパスのレンズポーチ(LSC-0918、これは何故かふたつもあつた)、コニカのレンズポーチ(CAMH28--00)と、型番がはつきりしないニコンとキロンのレンズポーチが見つかつた。自分で買つた筈なのに、何がなんだか判らない。尤もあれこれ入れてみたが、中途半端であつた。レンズポーチだからだらう。

 だつたらカメラ絡みのアクセサリに膠泥しなくてもかまふまい。さう思つて別のポーチを探してみたが、入りはしても気持ちよく収まらない。気持ちよくとはどういふ意味だと訊かれても、ぎちぎちにはならず、緩すぎもせず、無理なく綺麗に入つて、それが持出し易い、そんな感じかなあと云はざるを得ない。甚だ曖昧である。気持ちの話だもの、仕方ないぢやあないか。といふのも居直りであるかと思へる。そこまで煩く云ふなら、納得出來るポーチでも何でも買へば済むですよと忠告して下さる方もをられさうで、合理的な解決だらうなとは思ひつつ、それだと敗けた気がする。何と戰つてゐるのかは知らないが。

 といふことは、今はのんびり構へる外はないのだらうか。確かに毎日使へば、落ち着くところに落ち着くといふ期待は持てるし、おそらくその収まりが最も好もしいとも思はれる。ただそれはそれ、これはこれでもあつて、我ながら曖昧で腰が坐らない。その理由を考へるに、GF3を気に入つたから、持出す時もさうしたいと感じてゐるのだらう。そこで大切なのは物慾に走らない態度である。どう纏まるかは判らないが、敗北を喫さない為にも、己に“買はないよ”と云ひきかせなくてはならない。ぜんたい、何と勝負してゐるのかは、この際だから別の問題としておきませう。