閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

2024-01-01から1年間の記事一覧

1020 物慾の埋み火

先日、某カメラ屋で、(所謂)標準ズームレンズが附いた、EOS R50に触れた。手が余るくらゐに小さく、拍子抜けするほどかるい。驚いた。 EOSはフヰルムの時代に馴染んだ。ニコンのF系やミノルタのα系と較べて軽やかで、操作のインタフェイスに統一感があつたの…

1019 GRⅢ、ストラップに就て

GRⅢにはオプテック社のネオプレン製で、手首を通す式のストラップを附けてゐた。惡くはなかつたけれど、気に入るまでは到らなくもあつた。分厚くて手首に纏ひつく感じが、好きになれなかつたんである。オウナーのWebログを眺め、幾つか有名なのがあるのは判…

1018 好きな唄の話~ラデツキー行進曲

正月元日にウィーンの樂友堂で開かれる、ウィーン・フィルハーモニーの公演で、一ばん最後に演奏されるのが恒例となつてゐる。かろやかで花やかで賑々しく、詰りシュトラウス一家のポルカやワルツ、マーチで彩られた、年の始めの演奏會の締めくくりによく似…

1017 丸太花道、東へ

睦月の五日、膝腰の具合が宜しくないと父親が云ひ出し、病院へ検査に行つた。昨年の夏、かるい脳梗塞を發してもゐた事情がある。何といふこともなからう、と思ひたくはあるにしても、検査の結果で、何といふこともないと確められるに越したことはない。つい…

1016 年末と年始の予定の内と外(後)

令和六年の三ヶ日。 正月元日。 予定通りの朝は薄く晴れ、御佛壇に挨拶をし、二親と共にお目出度うを云ふ。御屠蘇の代りは藝州賀茂鶴の純米。口当りがかろくて中々宜しい。御節…お重につめるやうな…は要らないことになつてゐて、田作りや蒲鉾、八幡巻きを摘…

1015 年末と年始の予定の内と外(前)

お午に少し早い時刻に家を出た。 旧いふるい友人エヌと游ぶのが目的である。 "旧いふるい"は譬喩ではない。 四十年余のつきあひなのだから、さう称しても咜られはしないでせう。 顔を見るのは二年振りになる。この二年は、廿台卅台の二年と、余命の一点で重…

1014 長閑な春

御屠蘇に藝州賀茂鶴。 外は晴れ。 御雑煮にお餅を三つ。 春は長閑。 我が親愛なる讀者諸嬢諸氏に、謹んで新年の御挨拶を申し上げる。