閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

2024-01-01から1年間の記事一覧

1045 噂と期待

近年どうも慾しいカメラやレンズが無くなつてきた。手持ちのGRⅢがあれば、大体は何とかなりさうで、枯れてきたと笑はれても、止む事を得ない。併し例外がひとつあつて、令和六年夏の發賣を目指してゐるらしい、ペンタックスのフヰルムカメラがそれに当り…ま…

1044 本の話~二冊目のカルテ

『カメラバカにつける薬2』 飯田ともき/インプレス 二年前の[本の話]で取りあげた漫画の第二巻…正確には二冊目のカルテである。 續篇ではない。どうも作者は二巻が出ると思つてゐなかつた(第一巻に"1"が入つてゐないのは、さういふ理由)らしいけれど、私は二…

1043 なんばん

陋屋の近所に定食屋があつて、"チキン南蛮"と大書した看板を出してゐる。我が賢明なる讀者諸嬢諸氏には御存知のとほり、南蛮は元々 「自國を貴く…中原の華とし、周辺の民族を蔑んだ」 呼び方だつた。他に東夷、北狄、西戎があり、南蛮も含め、どれもまあ、酷い…

1042 訓戒

呑みすぎは、いけません。 何の本だつたか忘れたけれど、某政治家が同じ道に入つた伜に垂れた訓戒を讀んだことがある。覚えてゐるのは 「幾つかのパーティに招ばれたら、最初の會場で前菜、次にメインディッシュ、最後にデザートの順で食べ、満腹になるまで、…

1041 眞つ当でない

ペンタックス銘のレンズ交換式カメラは、K-01とQ系を除くと、すべて一眼レフである。但し前者は一眼レフからミラーボックスを外しただけといふ、強烈に変態な(褒め言葉)仕様であつて、あの會社は何を考へてゐたのだらう。 「だつてKバヨネット・マウントこそ…

1040 相対的

腹身の字を宛てると思つてゐた。 念の為に確めると横隔膜だつた。 間違つてゐた。 牛一頭から取れる量は少いらしい。どの程度の少さかは知らないけれど、私が好んで食べられるのだから、稀少とは呼べまい。肉牛の巨体を思ふに、他の部分に較べたら、相対的に…

1039 それはさうと

それはさうとして私は、スマートフォンでGoogleのカレンダー機能を使つてゐる。併せてColorNoteといふメモ用のアプリケイションも。簡単な予定の管理と、ちよつとした記録程度なら、これらで大体は事が足りる。 中々に宜しい。 便利が褒めすぎなら、不便が少…

1038 表と裏

令和六年の手帖は、高橋書店のフェルテである。月曜日始まりの両面一週間。例年通り、呑み喰ひの記録と、游びの予定を記してゐる。また別枠で一ヶ月単位の予定表が用意されてゐて、そつちには仕事に関聯することを書いてゐる。 「個人と會社は分けなくちやあ…

1037 気に入りで、呑む

GRⅢを私が常用してゐるのは、我が数少い讀者諸嬢諸氏に、御承知のことと思ふ。云ふまでもなく、小振りでかるく、素早く動いてよく冩る。切り替へなしで、寄つて撮れれば、なほいいと思へて…この場で云ふことではなかつた。 もうひとつ、このカメラは酒席に似…

1036 今度はきつと

不注意でカメラを壊した経験が、一度だけある。タキシに乗つた時、膝に置いてゐて、降りる際に滑り落した。間の惡いことに、落ちたのが水溜りだつた。慌てて拾い上げたけれど、残念な結果になつて仕舞つた。今でも覚えてゐる。それはニコンFEで、ニッコール…

1035 買ひそこねたカメラ

リコーのGRデジタルは初代からⅣまであつた。 この四世代は受光素子の大きさで、初代とⅡ、Ⅲ及びⅣに分割出來る。 これまで何度も触れたとほり、私の手元にあるのはGRデジタルⅡで、最初はⅢが出る直前に入手した。Ⅲを見た時、Ⅱに較べると、アクセサリ・シューが…

1034 買ひそびれたカメラ

リコーにGXRといふカメラがあつた。 全体を制禦する本体、受光素子とレンズを組合せたユニットで構成されてゐた。 単焦点が二種。 標準ズームが二種。 高倍率ズームが一種。 レンズと受光素子を一体にすることで、それぞれに最適なチューニングが出來るとか…

1033 小皿の幸福

風がぬるむ候、野菜が美味しくなつてくる。 菜の花を目にすると、先駆け、と呼びたくなる。鮮やかな色みが何とも嬉しい。辛子が効いてゐるのが叉、肴には絶好で、飲み助の幸福はここにあるのだと思はされる。 風ぬるみなば、 春とほからじ。

1032 上野にて

過日、上野の博物館で開催されてゐた和食の展示會に、呑み仲間の女性を誘つて足を運んだ。和食を科學の視点から見てゆきませう、といふ企劃意図。 上野恩賜公園の西郷隆盛像の処で待合せた。旧國鐵の上野驛で降り、ここに來るのは初めてと気が附いた。空は快…

1031 曇

雪の屋根。 重機、電線。 傍らに酒。

1030 敷居の向ふ

きらひではないのに、積極的に食べもしない料理は何ですと聞かれたら、天麩羅と応じる。揚ゲタ食ツタでないと、うまくない。さういふ天麩羅を食べたければ、天麩羅屋にでも足を運ばざるを得ず…屋台賣りの廉な軽食を、御座敷料理まで昇華さしたのは、云ふまで…

1029 そんなら

田辺聖子さんのエセーで讀んだ川柳…だつたと思ふ。 だんだんと そんならの出る おもしろさ 記憶だからどこか、間違つてゐるかも知れないが、そこは気にせずに續けますよ。 川柳の讀み解きほど、詰らないこともない。だけれどこれだけでは、何を詠んでゐて、…

1028 曖昧映画館~マジンガーZ Infinity

記憶に残る映画を記憶のまま、曖昧に書く。 『マジンガーZ』は子供の頃、夢中だつた。ひとが乗つて操縦するのだから、玩具を持つてそれを、ぼくが操つてゐるんだと思ひこめ、それは仮面ライダーやウルトラマンの変身と、一味ちがふ感覚だつた。 そのマジンガ…

1027 唐揚げを、喰はう

呑んでゐる夜、唐揚げを喰はうと思ふことがある。それなりに馴染んだ呑み屋の品書きには、鶏の唐揚げと蛸の唐揚げがあつて、さうですね、七対三くらゐの割りで、蛸を撰ぶことが多い。好みは勿論、胃袋の都合でもある。 尤も仄暖かな夕刻に、空腹を感じる日が…

1026 ウルトラマンブレーザー~感想余話

かれは、何ものだつたんだらう。 全廿五話に及んだ『ウルトラマンブレーザー』を観て、結局さつぱり、解らなかつた。 円谷ステーションから、設定…といふより、紹介の箇所を丸ごとコピーすると https://m-78.jp/character/ultraman_blazar/ 主人公・ヒルマ …

1025 感想文~ウルトラマンブレーザーを観て(後)

残る三話は、散りばめられた伏線を織り上げ、終着点へと辿り着かせる流れなのだが、果して大丈夫だらうか。 不安に駈られる第廿三話、いきなりゲント隊長のからだの調子がをかしく、医務室ではお医者さまに、骨量の減少と筋萎縮が甚だしいぞ、と咜られてゐる…

1024 感想文~ウルトラマンブレーザーを観て(前)

毎週末の樂み、『ウルトラマンブレーザー』が先日、最終回を迎へた。初回から第十二話までは [977 感想文~ウルトラマンブレーザーの前半を観て] に記してある。この稿では、第十三話から第廿五話(最終回)を主に(前半に伏線の描冩が幾つか、含まれてゐるから…

1023 ロジカル湯麺

寒いのはきらひである。 暑いのはにがてである。 どつちかを撰べと云ふなら、寒い方がいい。厚着して、熱い珈琲でも緑茶でも、啜つたら、何とかなるが、暑いと麦酒をあふるしかない。麦酒は寒くてもうまい。となれば、寒さに軍配を上げておかうとなる。どう…

1022 GRⅢ、ストラップに就てしつこく

自分でもしつこいと思ふが、またGRⅢで使ふストラップの話をする。附けてあるのは手首を通す式なのは以前に触れたとほり。今のストラップに格段の不満があるわけではない。ところで我がGRⅢでは、ライカM5のやうな縦吊りでも、ストラップが取りつけられる。こ…

1021 虎と鮪

過日、久しぶりに某所の立呑屋へ、足を運んだ。私にしては少し遅れた時間帯で、自分の場所はうまく取れた。紅茶ハイ(甲類の無糖紅茶割り)を呑み、お店のママさんと、顔を知る常聯さんに、どうも御無沙汰してゐますと挨拶をした。隣のお嬢さんが、二種の[十四…

1020 物慾の埋み火

先日、某カメラ屋で、(所謂)標準ズームレンズが附いた、EOS R50に触れた。手が余るくらゐに小さく、拍子抜けするほどかるい。驚いた。 EOSはフヰルムの時代に馴染んだ。ニコンのF系やミノルタのα系と較べて軽やかで、操作のインタフェイスに統一感があつたの…

1019 GRⅢ、ストラップに就て

GRⅢにはオプテック社のネオプレン製で、手首を通す式のストラップを附けてゐた。惡くはなかつたけれど、気に入るまでは到らなくもあつた。分厚くて手首に纏ひつく感じが、好きになれなかつたんである。オウナーのWebログを眺め、幾つか有名なのがあるのは判…

1018 好きな唄の話~ラデツキー行進曲

正月元日にウィーンの樂友堂で開かれる、ウィーン・フィルハーモニーの公演で、一ばん最後に演奏されるのが恒例となつてゐる。かろやかで花やかで賑々しく、詰りシュトラウス一家のポルカやワルツ、マーチで彩られた、年の始めの演奏會の締めくくりによく似…

1017 丸太花道、東へ

睦月の五日、膝腰の具合が宜しくないと父親が云ひ出し、病院へ検査に行つた。昨年の夏、かるい脳梗塞を發してもゐた事情がある。何といふこともなからう、と思ひたくはあるにしても、検査の結果で、何といふこともないと確められるに越したことはない。つい…

1016 年末と年始の予定の内と外(後)

令和六年の三ヶ日。 正月元日。 予定通りの朝は薄く晴れ、御佛壇に挨拶をし、二親と共にお目出度うを云ふ。御屠蘇の代りは藝州賀茂鶴の純米。口当りがかろくて中々宜しい。御節…お重につめるやうな…は要らないことになつてゐて、田作りや蒲鉾、八幡巻きを摘…