閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

956 サブカメラ(後)現實的に

 さうは云つたつて、GRⅢと(一応は)サブカメラとしてのGRデジタルⅡの併用は、現實的なのかといふ疑問はある。GRⅢはそのまま、GRデジタルⅡには(ワイド・コンヴァータを附けて)、モノクロームスクウェアを任す形が想定出來て、この二台をどんな風に持ち出せばいいのか。

 両肩にぶら下げたり、ストラップの長さを調節し、纏めて首に掛けるのは気に入らない。片方はポーチなり何なりに入れ、人目につくのは一台きりが恰好いいと思ふ。うつかりでも落とすのが、意に沿はないのは当然だから、そのポーチなり何なりは、二台同時に入るくらゐのサイズが好もしい。

 勿論出掛ける時は、GRⅢとGRデジタルⅡを持ち出すだけでは済まない。予備の電池、財布やハンケチ、スマートフォンも含まれる。だとしたら寧ろ、トート・バッグやらショルダー・バッグが便利なのが当り前の話になつて…この方向は詰らない。GRⅢとGRデジタルⅡを併用する上で、出來るだけコンパクトな持ち出し方を考へる方が面白からう。

 GRⅢではf64のポーチ、GRデジタルⅡではリコー純正のケイスを常用してゐる。どちらもカラビナ・フックとベルト通しがあるので、腰回りにぶら下げるのが、一ばん簡潔な方法である。これなら余分なお金を遣はなくても済む。が、恰好は宜しくない。ポーチとケイスの素材も形状も丸で異つて、メインとサブのカメラの統一感を削ぐこと甚だしい。

 バンナイズだつたか、GR系くらゐの大きさのカメラを二台、収められるケイスがあつたと思ふ。ただあすこの製品はよく考へられてゐるのに、何とはなしの使ひにくさ…二つ三つ、手にしての感想である…も感じられる。残念ながら私とは、相性がよくないらしい。犬印鞄もあつた。こつちも幾つか手にして、中々出來がいいのは知つてゐる。但しここの製品は、カメラを収れて持ち運ぶのが前提になつてゐない。堅めの帆布を採用してゐるのも、(そんな筈はないのに)擦れてしまひさうに思へて、遠慮したくなる。

 と書いてから、信三郎帆布製の小さなショルダー・バッグを持つてゐたと思ひ出した。縦長のやつ。アクセサリを纏めた巾着をすつぽり収めて、多少の余裕が出來、表の外側にあるポケットに本体を入れられる。裏のポケットには財布をねぢ込めもする。成る程、半日程度の散歩なら、これくらゐでよささうである。次の休日に持ち出して、撮り終へたら一ぱい、呑みに行かうか知ら。