何しろGRⅢは小さなカメラである。持ち出すなら出來るだけ小さくしたい。ぴつたりよりやや余裕がある布製で、カラビナ・フックが附いてゐるか使へるかすればよい。
まあすぐ、見つかるだらう。
何しろ小さいからね、GRⅢは。
と思つてゐたのが、あまかつた。
ケイスの類は手にしてみないと判らない。なので量販店で幾つか触つた。悉くしつくりこない。銘を挙げるのは控へるとして、素材や大きさ、色み、中の造り、さういふのがどうも納得し難くて、少々驚いた。
ハクバのケイスに目をつけてゐた。ナイロン製だけれど、形や中の造りが割りと好もしい。それで試しに入れると、ぱつんぱつんになつたから、がつかりした。
こまつたなあ。
暫くはハンカチーフに包んだままか。
併しハンカチーフに包むと、持ち出しは巾着袋に入れることになる。幾ら速冩性を求めない男だつて、使ふには不便すぎる。もういつぺん、こまつたなあと思つたら、f64のケイス…といふかポーチなのか…が目に入つた。
持つた感じは惡くない。
きらひなベルクロ・テイプを、ベルト通しを除けば使つてゐないのがよく、前面にあるポケットがまち附きで釦止めなのもよい。何より候補だつたハクバより(多少)廉な値附けなのがまた宜しい。それで買つた。
横には入らない。縦に入れると幅に随分と余裕がある。リコー製の外附けファインダと、マンフロットのテイブル・ポッドを附けても収まる。さういふ組合せで持ち出すかどうかは兎も角、さう出來ると思へるのは嬉しいぢやあないか。
出し入れを確めながら、黑糖焼酎を呑んだ。
ポーク・ランチョンミート入りの焼そばが、まことに嬉しいお摘みになつた。