閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

895 GRⅢ、ケイスに就て

 何しろGRⅢは小さなカメラである。持ち出すなら出來るだけ小さくしたい。ぴつたりよりやや余裕がある布製で、カラビナ・フックが附いてゐるか使へるかすればよい。

 まあすぐ、見つかるだらう。

 何しろ小さいからね、GRⅢは。

 と思つてゐたのが、あまかつた。

 ケイスの類は手にしてみないと判らない。なので量販店で幾つか触つた。悉くしつくりこない。銘を挙げるのは控へるとして、素材や大きさ、色み、中の造り、さういふのがどうも納得し難くて、少々驚いた。

 ハクバのケイスに目をつけてゐた。ナイロン製だけれど、形や中の造りが割りと好もしい。それで試しに入れると、ぱつんぱつんになつたから、がつかりした。

 こまつたなあ。

 暫くはハンカチーフに包んだままか。

 併しハンカチーフに包むと、持ち出しは巾着袋に入れることになる。幾ら速冩性を求めない男だつて、使ふには不便すぎる。もういつぺん、こまつたなあと思つたら、f64のケイス…といふかポーチなのか…が目に入つた。

 持つた感じは惡くない。

 きらひなベルクロ・テイプを、ベルト通しを除けば使つてゐないのがよく、前面にあるポケットがまち附きで釦止めなのもよい。何より候補だつたハクバより(多少)廉な値附けなのがまた宜しい。それで買つた。

 横には入らない。縦に入れると幅に随分と余裕がある。リコー製の外附けファインダと、マンフロットのテイブル・ポッドを附けても収まる。さういふ組合せで持ち出すかどうかは兎も角、さう出來ると思へるのは嬉しいぢやあないか。

 出し入れを確めながら、黑糖焼酎を呑んだ。

 ポーク・ランチョンミート入りの焼そばが、まことに嬉しいお摘みになつた。