閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

1022 GRⅢ、ストラップに就てしつこく

 自分でもしつこいと思ふが、またGRⅢで使ふストラップの話をする。附けてあるのは手首を通す式なのは以前に触れたとほり。今のストラップに格段の不満があるわけではない。ところで我がGRⅢでは、ライカM5のやうな縦吊りでも、ストラップが取りつけられる。これはGRデジタルの初代から續く伝統。GRデジタルⅡで暫く、さう吊つて持ち歩いたことがある。かういふ思ひ出しは、たちが惡い。肩首から下げられる程度に長いストラップが、ちよいと慾しくなつてきた。

 (慾しいと云つたつて、家のがらくた函には、何本もストラップがあるぢやあないの)

といふのは内心の聲で、その内心の指摘は正しい。長短太細広狭、色々撰べるのは確かである。但しGRⅢに附ける場合、話は変る。何せ取りつけ方が、携帯電話のストラップと同じく、小さな孔に紐を通す方法だもの。この方式で手元にあるのは、GRデジタルⅡ用に買つたリコー製の二本きり。随分と草臥れてゐて、GRⅢへの転用はしにくい。ではその他諸々のストラップは使へないかといふと、さうとも限らない。リコーのストラップの、本体側の孔を通す部品…と呼べるほど大袈裟ではないが、他の呼び方が浮ばないのだ…の、口ノ字の金具を経由すれば、所謂一般的なストラップも、取りつけられはする。惡くはないけれど、問題はあつて、第一に金具が小さい分、撰択肢は狭まること。この点は目を瞑れる。第二に取附具(と呼べばいいのか)の分、長さが変ること。ストラップ側で長さが調整出來なければ、ぶら下げる位置に影響する。そして第三には、取附具とストラップ本体の材質で、違和感を生じる可能性がある。

 「なーに、ほんの一部だもの、気にならないさ」

樂観的に考へてもいい。併しその樂観は、妥協に近いのが私の常で、妥協した組合せは直ぐ厭になる。GRデジタルⅡで失敗したからね、断定出來る。詰りGRⅢを、直ぐ厭にならない長めのストラップで吊るなら、さういふのを探す必要が生じる。論理的な帰結である。尤も帰結が論理的だと云つて、入手の容易さは別になる。その手の製品をざつと見た限り、皮革やナイロンが大半だつた。好みに適はない。細くてやはらかい帆布、或は同じく細身の組み紐が望ましいが、案外と見当らないのは、需要が(少)ない所為か。ひよつとして、オンラインショップにはあるかも知れず、とは云へ常用する機械に附けるものを、實物を見ずに買はうとは思へない。長めのストラップだけに、見つけるにも長々掛かるといふことか。