スマートフォンは、シャープのAQUOS sense3を、常用してゐる。發賣当初に購入したから、使ひ始てそろそろ五年目に差し掛かる。旧式なのは重々判つてゐるけれど、新しい機種にしたいかと訊かれたら、首を傾げてしまふ。
・電池の交換が自分で出來ない。
・日本語入力で歴史的仮名遣ひが使へない。
といふ不満は確かにあるにせよ、これらはAQUOSやシャープに限つたことではない。前の機種(シャープ)、更に前の機種(HTC)では、三年目に入つた辺りから困らされた、電池の劣化(機種変更を決断した、主な理由がこれ)も、今のところ許容の範囲に収まつてゐる。その他の動作、通信に就ても、格別の不満は感じず、要するに、機種を変更する積極的な理由が見当らない。シャープのひとは誇つていいと思ふが
「買い替へられないと、賣上げに関はりますから」
こまるなあと眉をひそめるかも知れない。メーカーとユーザーの温度差とは、かういふ時にあらはれるのです。
まあ我がAQUOS sense3が、型碌上のスペックで云へば、現行機種に大きく見劣りするのは間違ひない。併し各種の機能が現行機に劣るのと、それが使ひものになるかどうかは、また別だと、留意の必要がある。
・ゲームはしないし、
・動画の再生もほどほどだし、
・凝つた撮影もしない私
なら、五年前の機種でも十分、使ひものになる。さう考へると、"スマートフォンの進化がもたらす(らしい)利便"は、こちらには縁遠い。更に考へれば、では"スマートフォンの進化"とは、何なのかといふ疑問に辿り着くのだが、私の使ひ方が、一般的かどうか、自信が持てないから(捻ね者自慢ではありませんよ)、そこまでは踏み込むまい。
と、ここまでは、機種変更に到らない事情を、機能の面から眺めたわけで、實はもつと大きな理由がある。簡単に云ふと、スタイリングの惡さで、さう感じるのは主に二つ。液晶面に配置された、自撮り用(と呼んでいいのか知ら)のレンズが、液晶に食ひ込んでゐるのが気に喰はない。気に喰はないと云はれても
「それで、液晶を縁いつぱいまで、広く使へるんです」
メーカーは生眞面目に反論するだらうが、それで画面の上部がぺこんと凹んでゐたり、ぽつんと穴が開いてゐる様が、構ひますまいとなつたのなら、如何なものだらうねと、厭みを云ひたくなつてくる。
もうひとつ、背面に複数のレンズ(またも!)を附けるところまでは、我慢してもいいけれど、それが飛び出してゐる姿は、何を考へた結果なのかと思ふ。スマートフォンは表裏平坦が、矢張り基本の形でせう。レンズにあはせたら、全体が分厚くなつてしまふ、と反論されさうだが、その全体を薄つぺらにすればいいとは限るまい。厚みがあつても、その厚みが必要なスタイリングだと思はせればよく、さう思はせる形を作つてこそ、デザイナーの手腕であらう。他社製とちがへばいいとまでは云はないにせよ、主流になつてゐるスタイリングに異を唱へても、損にはならないと思ふのだが、デザイナー諸氏はどうお考へだらうか。
詰りさういふ理由で、今のところ、機種変更を行ふ積りになれないでゐる。尤もその辺りが解消しても、八万円とか十万円とか、そんな値段だつたら、矢張り機種変更に臨まないだらうと確信してゐる。