閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

1041 眞つ当でない

 ペンタックス銘のレンズ交換式カメラは、K-01とQ系を除くと、すべて一眼レフである。但し前者は一眼レフからミラーボックスを外しただけといふ、強烈に変態な(褒め言葉)仕様であつて、あの會社は何を考へてゐたのだらう。

 「だつてKバヨネット・マウントこそ、ペンタックスのイコンなのだもの」

と云ひたかつたなら、気持ちは判らなくもない。確かに互換性は、不変を謳つたニコンのFバヨネット・マウントより、余程に優れてゐた…過去形にしたのは、ニコンがZバヨネット・マウントに移つたからなので、念の為。

 ところでペンタックス銘を持つてゐるのはリコーで、リコーも以前は、XRといふ一眼レフ(銀塩の方ですよ)を出してゐた。末期はコシナからのOEMだつたらしい。但しリコーもコシナも認めてはゐない。そのXR系一眼レフは、Kバヨネット・マウントを採つてゐた。リコーに吸収される前のペンタックスが、規格の基本を公開してゐたからである。ペンタックスを始め、同マウントの各社製レンズを使へた。

 手元には二台のボディがある。使つてはゐないが時々触つて、小さくかるく簡潔なのがいいなあと思ふ。更に機能を割りきつた、小さくかるく簡潔な、リコー社銘のデジタル一眼レフを出さないかなあとも思ふ。大きさに難があるなら、ミラーレス化してもいい。一眼レフ宣言を出したのはペンタックスだから、リコーXRデジタル(仮)が、異なるマウントを採用したミラーレス機であつても、文句は出まい。

 たとへばこのXR-7MⅡが、嘗てのQバヨネット・マウントで、リコー銘化されたら、かなりそそられるんだけれど、さういふ眞つ当でない物慾の持ち主は、私くらゐなのか知ら。