閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

550 丸太花道、西へ

 起きたら東京は曇。やや宿醉ひの気配がする。前日"ぷらっとこだま"の切符を買つた序でに、久しぶりの中野の某店でうまいお酒を呑んだから、その所為だと思ふ。

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 珈琲にヤマザキのロール・ケーキを食べながら、洗濯機をまはす。洗濯物を干し、煙草を吹かして家を出る。

 途中の[ライフ]で一番搾り"とれたてホップ"(500ミリリットル罐)とFRONTERA(2019年ヴィンテージ/シャルドネ)の半壜を買ふ。あはせて658円。そこから[ezマート]に寄つてお弁当や惣菜を買はうと思つたが、クリスマス向けの品揃へだつたから、諦めて東京驛まで移動する。

 [キヨスク]でひよこ饅頭を買ふ。それから東海道新幹線富士山弁當…えらく長い名前だなあ…を1180円で。更に"ぷらっと"のクーポンでプレミアム・モルツ。プラットホームの喫煙所で煙草を吹かし、入線した新幹線に乗り込む。こだま727號11號車3番D席。空席の多い車内なのに、何故だが隣にお客がゐて、密かにうんざりする。隣人もまたうんざりしたにちがひない。

 予定通りに發車した後、にはかに空腹を感じた。小田原くらゐまで待つ積りだつたのを繰上げにして、新横濱辺りからお弁当を開ける。富士山弁當と名乗るだけあつて、おこはが三角に詰められてある。赤富士を意識したのか知ら。決してまづくはないが、値段を考へれば首を傾げたくもなる。

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 熱海を過ぎた辺でFRONTERAの封を切る。裏を見て、チリー産、メルシャンが輸入してゐると解る。富士山弁當のおかずをつまみに呑む。穏やかでほどほどの酸味が佳い。静岡辺でおかずを食べきり、掛川が近くなるところで、家から持つて出たQBBチーズをつまむ。

 うつらうつらしてゐたら三河安城を過ぎてゐる。"ぷらっと"のクーポンで手に入れたプレミアム・モルツをゆつくり呑む内に米原へ着到。ここから所謂地元の地域といふ認識になるので、空罐空壜を棄て、後は水を呑む。米原から京都を経て新大阪への着到は定刻通り。世界に冠たる新幹線の面目ここにあり。

 "ぷらっとこだま"の乗車区間は厳密に東京驛から新大阪驛なので、一度改札の外に出る。梅田に出て、阪急電車に乗らうかと思つたが、御堂筋線西中島南方驛を経由することにする。地下街を歩いてゐると、[しのぶ庵]といふ暖簾があつて、品書きにお酒が見えたから、ふらつと入る。長居する積りはない。鳳凰美田(劔)にポテト・サラド、呉春としらすおろしで2035円。場所代があるのを含めても、ちよいと割高だなあ。などと思ひながら外に出ると大坂は、雨の後。