閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

2024-07-01から1ヶ月間の記事一覧

1108 ネクタイのゴシップから

何かの本で讀んだゴシップ。我が國某社の編輯者は、担当してゐた吉田健一が帰國する際、空港まで迎へに行くならはしになつてゐた。あの批評家兼小説家兼健啖家兼飲み助が行く外國といへば英國だが、ロンドンから東京までの飛行機内で、最後の一ポンドまで呑…

1107 提督の双眼鏡

たまに双眼鏡乃至単眼鏡が慾しくなる。 何故だかは解らない。あの光學機器には、冒険家やフィールドワークの研究者のツール、といふ印象があるから、そのイコンへのあくがれでもあるのか知ら。 (出無精を自認する丸太が) 何を云ふのかと呆れないでもらひたい…

1106 本の話~少年の教科書

『ヨーロッパ退屈日記』 伊丹十三/新潮文庫 昭和四十年刊行だから、私よりわづかに年上の本。 当時の伊丹は卅二歳。詰りこの本の中身は、かれが廿台の頃に書かれたことになる。たとへばマドリッドでは やがて十一時頃になって、あたりが暗くなり、そろそろ涼…

1105 夏が來た

近畿人にとつては、祇園祭の鐘の音と鱧の湯引きが夏の訪れだけれど、東都では聞くのも口にするのも、中々に六つかしい。その代り、東都にはエイサーとオリオン・ビールと苦瓜がある。即ちチャンプルーフェスタ。 開催は去る文月の十三日。 場所は東京中野。 …

1104 使ひわけ

お摘みと肴を漠然と使ひわける癖がある。 前者の方が広く感じられる。肴は酒菜とも書くでせう。なのでお酒…日本酒の意味ですよ…にあはす時以外には使ひにくい、気がする。 獸肉でなく、バタの類を用ゐず、炒めない。 さういふ食べものが、肴ぢやあないか知ら…

1103 自衛叉は用心の為の串盛

暑い季節に入ると、空腹は感じても食慾は感じなくなる。冷し中華や南蛮漬けの類があれば、大体はどうにかなり、甚だ不健全である。だから食事はしつかり摂りませうと話が進めば樂でよく、叉その方向は正しくもあるのだが、私の胃袋はそちらを向いてゐない。…

1102 都合乃至具合のいいピーマン

"肉味噌ピーマン"と品書きにはあつた。 画像を見れば、名前に誇張も偽りもないと、判つてもらへると思ふ。うまい…絶品とは云へないけれども。 この肉味噌ピーマン、うまいのは勿論、もつ煮だの串焼きの盛合せだので、ある程度お腹が膨れた後、もう一ぱいか二…

1101 特別急行列車に乗つて

明日、どつかに行かう。 ここではないどつかへ。