閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

896 GRⅢ、設定を考へる

 やうやく、GRⅢを持ち出した。

 近所の公園。

 散り初める前の櫻を何枚か撮つた。游びに聯れられた保育園の子供たちが走り廻つてゐて、なんとも嬉しくまた、いい気分になつた。年齢なのだらうな、涙が出さうでもあつたのは、ここだけの話ですよ。

 

 撮るといつても、凝つたことは何ひとつせず、GRⅢに任せきりで試した。起動が(GRデジタルⅡに較べて)たいへん速かつたから、びつくりした。焦点合せもメディアへの記録もまことにスムース。現代のカメラは凄いなあ。

 そこで気になつたのは二点。先づ標準的な測距が多点式であること。もうひとつは電源を入れた際、ランプが点灯すること。どちらも好みにあはない。さう云へばタッチパネルを採用してゐたとも思ひ出した。使ひたくない。

 陋屋に戻つて、測距を中央一点、ランプは消灯、タッチパネルの動作は無効にした。それから作動時の音を消すことにした。設定項目は他にも多岐に渡つてゐて、測光方式だの、露光の補正量だの、ローパスレスだの、シェイク・リダクションだの、NDフヰルタだの、Wi-Fi接續だのと、自在に変更出來る。

 便利と理解していいのか知ら。

 便利なのだらうと思ふ。

 それぞれの機能を理解し、自分の意図に対して適切な選択が出來れば、だけれど。

 六つかしい。GRⅢは、手を掛けず、お任せで使つても、十分な画像を撮つてくれるからで、余程に明確な狙ひが無い限り、あれこれ弄つても意味を持たなささうに思へる。

 それで先刻、公園にゐた保育園の先生を思ひ出した。スマートフォンや一眼レフ(形から察するにEOS Kiss)で子供たちを冩眞に収めてゐて、仕事ではあるのだらうが、樂しさうでもあつた。先生方はきつとカメラには興味がないから、兎に角どんどん撮つてゐたにちがひなく、もしかして設定が変更出來るのも知らないのではないか。

 あれでいいのだ、と思つた。

 当り前の話だが、こちらの好みに適ふかどうかは、撮つてみないと解らないし始まりもしない。そんならカメラ任せだらうが何だらうが、使ふだけ使つてから、自分にとつて必要な設定を施すのが望ましく、また健全な態度でもあらう。私は設定マニヤではない。それに設定を弄つたからといつて、冩眞がましになりはしないんだもの。

 さてそのGRⅢで撮つた冩眞はこれ…と云ひたいところなのだが、残念なことにファイルが大きいらしく、アップロードがうまくゆかなかつた。その辺をどうするのかは、これから呑みながら考へることにする。