閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

1085 GRデジタルⅡを使つてみて

 記憶にあるほど、使ひやすくはなかつた。

 気になつたほど、使ひにくくもなかつた。

 發賣されてゐた時期を考へると、十分以上に使ひものになつたのだから、上々と云つていい。まあ私のやうに、ぽちぽち撮る程度なら、と條件を附ける必要はあるけれど。

 ほぼ廿年前の機種だからね、條件は不要でせう。と考へるのも、誤つた見立てと云はれる心配はあるまいが、實際に使へたんだもの。その辺はどちらでもいい。

 とは云へ、今から(所謂)メイン機に戻れるとは思はない。時間の経過を考へれば、流石にそこまでの力は残つてゐないし、それをこの機種の責任と見るのは筋がちがふ。

 令和の現時点、GRデジタルⅡを使つて思つたのは、(意図的に持ち出さなかつた)GRⅢがあればなあといふことで、優劣ゆゑの感想ではない。いや多少その面があつたのは認めませうが、今回のGRデジタルⅡでは、モノクロームのスクェアと撮り方を決めてゐた。それでその撮り方に適はない(叉は適ひにくく感じた)被冩体を前に、GRⅢを望んだ時が何度かあつた。ならばGRデジタルⅡには、GRⅢを使ひつつ、気分を変へる…といふより、ずらす役割を任す手はありさうに思へる。たれの一文だつたか、同じメーカーの異なる機種を併用すると、気分も少し異なるのがいい、とか何とか讀んだ記憶があり、それを眞似た發想である。詰りGRデジタルⅡを引退させる積りには丸でならなかつたのが、この皐月であつた。