閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

1084 GRデジタルⅡを使ひながら

 ぽちぽち程度の頻度である。

 ストラップは長めのを横吊りに、首からぶら下げてゐる。だから縦に入れるリコー純正のケイスでは、ちつと不便を感じるが、今からケイスを誂へるのも如何なものか。

 正方形のフォーマットで白黑。

 露光はプログラム任せである。

 晴天下で絞り込む程度はする。

 要するに凝つた使ひ方は、何もしてゐない。その気になつたら、色々出來るのは知つてゐる。併し今のところ、その気にならないのだから、仕方がない。それに凝つた眞似をしなくたつて、(私が撮る程度なら)文句を出せない冩りの一枚を叩きだしてくれもする。

 そんならGRデジタルⅡで十分かと云へば、さうでもなささうに思へる。後發の機種(GRの系列ではないが)を幾つか使つた経験から云ふので、他に手を伸ばさなければ、GRデジタルⅡの感覚が、私の当然だつたのは間違ひない。

 だつたらGRデジタルⅡでは不満かと云へば、さうだとも云ひにくい。前段でも触れたとほり、冩りに苦情を出す積りはないし、小さくかてるく、手に馴染んでもゐる。何より今、この一台に、以前の生眞面目を感じずにゐる。

 …など書いたら、GRデジタルⅡの格を下げてゐないか、と批判されさうでもある。併し生眞面目な態度を別の機種…露骨に云へばGRⅢ…へ任せられるに到つたGRデジタルⅡが、やうやく游具に辿り着けたわけで、殆どのカメラがそこに行くまでに、使ひものにならなくなると思つたら、大したことと云へはしないだらうか。

 GRデジタルⅡでぽちぽち撮つた後、馴染みの呑み屋で一ぱいやりながら、そんなことを考へた。