閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

899 現實的な数字と形式

 ご承知のとほりこの手帖では、書いたものに"001"から始まる聯續した番號を附けてゐる。云ふまでもなくこれは、ライカの製造番號の眞似。数が多ければいいのではないが、それでも増えてゆくと惡い気はしない。

 

 併し九百番が目前になつて、ちよつとまづいのではないかと思へてきた。聯番を三桁にしてあるからで、このままの調子で回を重ねれば、一年足らず経つと四桁に辿り着く。

 

(念を押すまでもなく、四桁に達してもそれは、表向きの数字に過ぎない。価値的に圧縮したら何回分になるか…は、考へたくない事柄である)

 

 さ。

 四桁回になつた時、どうするかに就ては、まだ何も決めてゐない。我が親愛なる讀者諸嬢諸氏は大して気にしないだらうと思ふ。私だつて悩ましい、と思つてはゐない。

 併し無視もしにくい。

 番號プラス外題の形式を長く續けた結果、この手帖の傳統になつてしまつた。勿論それが私的なのは承知してゐるが、寧ろそれだから手をつけにくくなつた一面(形式の面倒くささである)もあつて、さういふ意味では厄介とも云へる。

 まあ、慌てて決める事柄ではないのは確かである。暢気にかまへて、一ぱいか二杯、やつつけながら、考へる運びといたしませう。