閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

1037 気に入りで、呑む

 GRⅢを私が常用してゐるのは、我が数少い讀者諸嬢諸氏に、御承知のことと思ふ。云ふまでもなく、小振りでかるく、素早く動いてよく冩る。切り替へなしで、寄つて撮れれば、なほいいと思へて…この場で云ふことではなかつた。

 もうひとつ、このカメラは酒席に似合ふ。酒肴を撮る一面もあるけれど、肴になる面はもつと大きい。おれのGRⅢは恰好いいぞ、と思ひながら呑めば、うまい麦酒(叉はお酒、葡萄酒)が、もつとうまくなるのは当然で、かういふ役目を果せる機種は、存外に少いのではなからうか。

 敢て云へばライカ、ねぢマウントのやつに、沈胴式のレンズを附けたやつは、肴になる。が、きつと気を遣ふ。それにライカで酒肴を撮るのは、些かの無理がある。酒肴を撮り、肴にもするなら、優位なのは我がGRⅢである。

 その気に入りであるところのGRⅢを持ち出し、気が向けば何枚かの冩眞を撮つて、気に入りの呑み屋に入り、気に入りの摘みを舌鼓を打ちながら、一ぱい、叉は二はいをやつつけるのは、たいへんな愉快と云つていい。

 うむ、おれのGRⅢは、恰好いいなあ。