閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

1169 そもそもと大体のひとり呑み

 師走の西上は廿三日の月曜日、東海道新幹線を使ふことにする、と改めて決めた。運行で云へば通常期。のぞみ號かひかり號かは、この稿を書いてゐる時点で、未だ決めてゐないが、午后早めの時間帯…罐麦酒と軽食を樂めるくらゐの…を撰ばうと考へてゐる。さう大して混雑はすまいから、切符は当日でもよからうと思つてゐる。

 

 さてそこで、前日廿二日、呑みに行くかどうかが、問題になる。当日午前は洗濯をして、新幹線内での呑み喰ひの買ひものをする必要があるから、宿醉ひは出來ない。かろく呑めばいいと考へても、かろくで抑へられるのか、不安が残る。かと云つて、呑まないのも詰らない。

 ただその廿二日は日曜日で、日曜日は馴染んだ呑み屋の幾つか(たとへばケーブラ屋)が、定休日でもある。梯子酒と云ふが、梯子の段数が少いのは、気が樂でいい。だから一応、呑むなら近所にしておかうと思ふ。

 その場合の起点は驛前のアイ路にする。焼酎ハイかホッピー。或はお酒を一ぱい。串焼き、玉子焼き、ポテトフライにハムカツ、塩キヤベツ、鶏皮のぽん酢和へ。

 アイ路に行くと、アールに立ち寄るのが大体の流れなんだが、アールは日曜日が休みである。なので陋屋に近いケーゼットを覗いてもいい。とは云へケーゼットは最近、ふらつと寄つただけで、年の瀬に似合ふかどうか。客あしらひは、惡いものではなかつたけれど。

 一驛、動く手もなくはない。さうしたらケー船があり、エイチがある。うまくしたら、ワイナインだつて、開いてゐるかも知れない。どのお店も實にうまい。但しそこまでして呑みたいのか、呑まねばならないのかと考へたら、決してさうとは云へないなあと自答する。

 だつたら、アイ路ですつぱり〆た後、驛ビルの一階に入つてゐるイーマートでお惣菜を、上の階にあるエスアイに寄つて、上等の麦酒やら葡萄酒の小壜を買つて帰り、陋屋で二次會に移る方が、賢明な対処になるかも知れない。尤も時期からして、エスアイのお惣菜が、クリスマス向けになつてゐる不安は残り…要するにどうしたつて、これで決りと云ひにくい要素がある。面倒である。

 

 こんな風に考へを進めると、そもそも西上前夜、呑みに出なくとも、構はない気がしてきた。廿二日以前でも、呑みたければ呑むのは当然だし、新幹線の車中、もしかして新大阪驛ビルの呑み屋で呑むのも、疑念の余地はない。だつたら特定の一日に拘泥しなくてもいい。と理窟を立てられもする。大体ひとり呑みといふやつは、思ひたつたその時に、ふと出掛けられる気らくさがいいので、予めどうかう考へ込むのは似合はない。要するに迷つてゐて、きつと廿二日は、上に挙げたのと丸でちがふ夜になると思ふ。