どうも整理が苦手でいけない。使はなくなつたら処分すればいいのに、がらくた箱にはふり込む惡癖があつて、忘れた頃に、何故こんな物が残つてゐるのかと驚く事がある。
画像もそれで、見ての通り、VistaQuest(VQ1005)といふ玩具デジタル・カメラ。序でに記すとD20EMAV038198がシリアル番號。レンズ周りにある汚れた金属は、フィーチャー・フォンのレンズに附けるコンバータ用の環。後ろに冩つてゐるのは、VanNuys製のフィーチャー・フォン用ケイス。
いつ、幾らで。
それより何を考へて買つたのか、さつぱり覚えてゐない。
といふより、VQ1005がどんなカメラなのかも判らない。判らなくなつて仕舞つた。併し世の中は便利なもので型番で調べると、かういふサイトが見つかつた。
◾️変デジ研究所/VISTAQUEST VQ1005(2006年型)LOMOっぽい写真が撮れると人気だったキーチェーンデジカメ
https://lab.hendigi.com/vistaquest-vq1005/
◾️Stroller/VISTAQUEST VQ1005(2008年型) レビュー
http://stroller2nd.blog58.fc2.com/blog-entry-10.html
この手の玩具の常として、最終的には何が何だか判らないままになるのは。仕方のない事ではあるが、同じ型番で少くともふたつのヴァージョンがあるらしい。少くともといふのは、それ以外にもあるみたい(ENTRYやR2)だからで…ライカだつたら熱心な研究の対象になるのだらうな…併しヴァージョンで何がどう異なるのかもよく判らない。
http://redpop.jp/vq1005/index.html
この奇特なサイトには色々有益な情報が載つてゐるのだが、それでも、"自分の手元にあるVQ1005がどの世代なのか"を特定…判断するのは六づかしい。文句を云つてゐるのではなく、その程度の玩具だつたといふ事(曖昧な記憶を辿ると、入手後に復刻だと何だのといふ文言を見た筈なので、がらくた箱から掘り出した個体は、比較的初期ではないかと思ふ)寧ろこんなサイトがあつた事實に驚かされたくらゐで、マニヤはどこにでも潜んでゐるし、何を相手にしてもマニヤックな情熱を傾けるひとがゐるものだと感心した。
ところで、使つたか知ら。
この辺の記憶も甚だ曖昧である。まつたく撮らなかつたとは考へにくい。尤も記憶が曖昧といふ事は、眞面目に使はなかつたとの推測は成り立ちさうで、實際もさうだつたにちがひない。併し使はないなら、さつさと処分するか、別の数寄者に譲るかすればよかつたのに、さういふ事もしてゐないのは、本人が云ふのも何だが、不思議でならない。この稿を書き出す直前まで忘れてゐたのだから、愛着を感じてゐたのではないのも確實だもの。
値うち…ここで云ふのは賣る時の値段程度の意味…の無いカメラは、時にその値うちの無さが有利に働く事がある。リコーのXR-8などはその典型で、気遣ひも何もせずに使へる。ただリコーの場合、リケノンやペンタックスは勿論、アダプタ経由でねぢ式のツァイスまで使へる大きな利点がある。市場での値つけは兎も角、遊び甲斐のある機種なのは間違ひなく、そこに"壊れたら買ひ直せばいいや"といふ気樂さが追加されるのだから、その視点で云へば(市場での)値うちの低さが(使ふ上での)値うちに転じてゐるといつていい。
そこで我がVQ1005を改めて眺める。玩具デジタル・カメラだから、撮像素子は察するに余りあるし、レンズを交換してどうかうするのが不可能なのは云ふまでもない。記憶からはすつぽり抜け落ちてゐるが、電池の保ちも惡い…といふより酷いさうで(上記のサイトには一応の対処法が載つてあるけれども)、どうにも弁護が六づかしい。
有り体に云ふと工夫の余地の見つからない…何百歩か譲つても、見つけるのがきはめて困難なカメラ、訂正、玩具であつて、今から實用的に使はうとは思へない。併しがらくた箱に戻すと、またすつかり忘れて仕舞ふだらうから、取敢ずは(使ふ頻度の低い)カメラ・バッグにぶら下げた。気が向いたら乾電池を買つて撮れなくもない飾りである。気の毒に思はなくもないが、利用法の一種と見做せなくはないし、呑み屋の席で会話の切つ掛けになれば、役割としては十分だとも考へられる。