過日、ちよいと一ぱいを引つ掛けた時のつき出し。
ご覧のとほりの天麩羅で、見た目はまあ、仕方がない。
天麩羅屋で呑んだのではないもの。
画像では判りにくいので云ふと、種は茄子と烏賊。
正直なところ、困つたなあと思つたのは、わたしが茄子を苦手にしてゐるからで、お店の責任ではない。それにこのお店の摘みが信用出來るのは、既に知るところでもある。
それで食べると果して實に美味い。
塩を少し振つたのだが、纏ふ衣のかるさと、茄子の水気がうまくあはさつてゐる。感心し、苦手の前言を翻して、快哉をあげたくなつた。
烏賊はもつと感心した。我が親愛なる讀者諸嬢諸氏も御存知の通り、烏賊は火の通し具合を間違ふと、護謨のやうな歯触りになるでせう。そんなことは勿論なく、自分でも不思議なのは、ごく上等のビスケットが聯想された。まさか英國人のお茶の時間には出せなからうけれど。
上手の天麩羅はお酒の時間を豊かにしてくれる。