閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

846 未定

 令和四年も終りに近づいてきて、当然おれは西へと上る予定をしてゐる。カメラを持ち帰るのも当然で、そのカメラは出來るだけ小さく、かるいのが望ましい。

 GRデジタルⅡが最良だらう。

 と思つてゐた。併しGRⅢを買はうと考へてゐる今、詰りまだ買つてはゐないのだが、GRデジタルⅡを西に持つてゆくのは、些か躊躇ひを感じなくもない。

 そこでいきなり、オリンパスE-PM2が浮んできた。いふまでもなく、マイクロフォーサーズ規格の旧い機種。但しおれの使ひ方で不便はないと云つたら、最新機種に携つたひとは厭な顔をするだらうな。

 オリンパス…會社名が変つたのだつたか…のひとが厭な顔をするだらうことをもうひとつ云ふと、そのE-PM2で常用するのはパナソニックの14ミリで、オリンパスにも似た仕様の17ミリがと云はれさうだが、そちらの製造は既に終つてゐるし、明るい現行品は何となく好みに適はない。冩りではなく(そんなのに不満が出ないのは解りきつてゐる)見た目の話なのは念を押すまでもないか。

 これでいいぢやあないか。

 さう考へたら、マイクロフォーサーズ規格のレンズが気になつてくるのは自然な流れで、その流れに乗つて(またも)パナソニックのレンズ…12-32ミリのズームが目に入つた。やや広角寄りのいはゆる標準ズーム。似た仕様で云へぱ、オリンパスに14-42ミリがあるが、広角レンズで一ミリ二ミリのちがひは意外に大きい。広角レンズ好きとしては、パナソニックに目を向けるのは、止む事を得まい。

 ちらりと調べたら、評判は芳しくない。尤もレンズとお酒の味はひに関する批評は大体のところ、当てにならないのが通り相場である。この五年以内のレンズだから、おれが使ふ分に支障がないのは簡単に予想出來る。暗いレンズではあるが、こちらはぼけを重きを置かないので、気にはならない。寧ろ12ミリ始りで小さく、そこそこ寄つて撮れる方が重要であつて、かういふのがあれば、E-PM2を附けて西に上るのもいいなと思つた。あつた。

 某日、野暮用があつて出掛けた某所で、その野暮用を済ませた後、某カメラ屋を冷かしたら、あつたんですね、12-32ミリの中古品が。こまつた。腹積りの値段はあつたが、その腹積りより随分と廉だつたからである。値札に正面衝突されて、たぢろいだと云つてもいい。散々迷つた挙げ句、見せてもらつた。鏡胴に擦れがあると書いてゐたが、どこなのか、店員さんに示されてもさつぱり判らなかつた。AとかBとか区別をするから、厳密に見なくちやあならないんですと云はれて、何ともコスメチックな話だと思つた。

 結局、買つた。

 沈胴した状態なら、上に挙げたパナソニック14ミリと殆ど同じ大きさで感心した。E-PM2に附けた。もうひとつ似合はない。何と云ふか、材質に統一感がない。パナソニック同士はどうだと考へて、手元にあるGF3に附けたら、こつちの方が似合ふ。こまつた。GF3のスタイルは好もしいのだが、操作系がこちらの手指にしつくりこない。どうせ全自動で使ふんだと思はなくもないが、感触の問題は別枠だからなあ。

 もうひとつ、このレンズにはフヰルタやフードの類がまつたく似合はない。これにもこまつた。試しにF-FOTOのフードを附けたが、沈胴の時は兎も角、使ふ状態を上から見ると(些か下品ではあるが)、勃起した茎が聯想される。この手のレンズはさういふのを附けないで、気樂に使ふのが本すぢなのだなきつと。さう納得したのはかまはないが、さて西上のお供にするのはGF3なのか、矢張りE-PM2にするのか、未だ決めかねてゐる。