閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

521 先決の課題

 オリンパスのペンE-PM2を買つた。中古品。具体的な値段は書かないが、莫迦ばかしく思へるくらゐだつた。平成廿四年發賣だから、もう八年も前の機種である。元々マイクロ・フォーサーズ規格はわたしの主力で、レンズはあつたから、そちらの不便は無い。ここで眞つ当な讀者諸嬢諸氏から、何を今さら八年前の骨董品を買つたのか、と不思議がられるのではなからうか。デジタル・カメラで八年前と云へば、遺物と呼ばれるのが当然だもの。

 併し骨董品乃至遺物の旧機種が使へないかと云へば、さうとも云ひにくく、わたしの使ふ範囲に限れば、寧ろ格別の問題も無いと云はざるを得ない。手元で使つてゐる中にはもつと旧い機種もあつて、それでも平気だから、特殊な撮影…飛行機や野鳥、レース、或は天体…でもなければ、最新の機能は役に立たないとも考へられる。あつて困るものではないにしても、冩眞にとつてのテクノロジの進歩とは何なのかと思ひたくなる。

 使ひ勝手はあまく見て並み程度。カメラ任せで撮る分に不満は感じない。少しでも凝らうとしたら、即座に面倒が顔を出すが、そもそもがさういふカメラではないと思へば、目を瞑れる範囲。寧ろ取敢ず鞄にはふり込める程度の大きさ重さなのが、わたしにとつては有難い。気が向けば撮つてもいいし、さうしなくてもかまはない。これがニコンのZやキヤノンのRだつたら、気が向く向かないの前に、持ち出す段階で決意が必要になる。偶さか撮りたいと思つた時、手元に無いのなら、それは持つてゐないのと同じではありますまいか。

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 今はパナソニックの14ミリF2.5レンズにリングを入れて、オリンパスのズイコー28ミリF3.5用フードを附けてある。嵩高くはなるのは難点だが、恰好は宜しくなる。なのでそこは我慢してもいい。ストラップは細身の布製が見当らなかつた。改めて買ふのも面倒だつたから、がらくた函に埋もれてゐた無銘の地味なやつにした。ニコンの派手なのを附けてみると、ストラップが惡目立ちした。中々六づかしいですな。

 後は何も附けてゐない。附ける必要もなからうと思つてゐて、いや例外がひとつ、VFの型番で用意されてゐた外附けの電子ヴュー・ファインダにはちよつと興味がある。三種類あつて、いづれもこのカメラで使へる。無くても困りはしないが、わたしはお酒や葡萄酒のラベルやつまみ…詰り呑み喰ひを撮るのが好きだから、新機能や高機能と異なり、あれば積極的に便利だらうとも思はれる。まあその有無に関らず、わたしが撮る冩眞は素人の遊びの域、死につつある記憶力の代替を出ないのだから、眞つ当に撮れる様になるのが先決の課題になるのだけれども。