閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

941 お摘みセット

 我がGRⅢにはフードが無い。リコーが用意してゐないのである。フードを附けたければ、アダプタを使つて、サイズが適ふのを探す必要がある。

 そのアダプタを、五千円足らずで贖つた。たかがプラスチックの筒…ワイド・コンバータを附ける為の仕組みはあるけれども…に出す値段としては、随分と高額に思ふが、止む事を得ない。

 F-fotoのフードも買つた。千六百円くらゐ。ねぢ込み式の薄い金属製。GRⅢに附ける分には、外附けファインダを使はない限り、役に立たないスリットが入つてゐる。

 恰好のよさで、役に立つてゐると云へなくもないか。

 取り附けた姿は中々宜しい。

 但し電源が入つてゐないと、アダプタの空間が目立つて、間の抜けた感じになる。これは縁の薄いフヰルタを挟めば、どうにかなりさうである。

 問題は附けた時の大きさで、使つてゐるf64のケイスには収まらない。またこのサイズだと、オプテックのリスト・ストラップでは、些か頼りない感じがされる。

 となつたら、フード附きアダプタを使ふ際の、ケイスやストラップを考へる必要が出てきさうに思へる。詰り数千円の出費が要求される。まづい。呑むのを一回、我慢したら済む程度の出費ぢやあないか、とは考へられても、手に入れた物を摘みに、引つ掛ける一ぱいがうまいのは事實だし、實際、フード附きアダプタを装着したGRⅢは、佳い摘みであつた。