おぼろ豆腐御膳には大辛口。
一番汲みも呑んだ。
何年か前に代替りしてから、礼儀作法を學んだのか、たいへん落ち着いた佇まい。
買つて直ぐ呑んだ時は、やや酸味が立つてゐたが、翌朝になると、それも佳い感じに収まつて、贅沢を云ふなら、旧來のやんちやな醸しでも、つくつてほしかつた気がする。
とは云へ、藏が開いた場所で、新しいお酒を呑み、また贖へたことが、先づは喜ばしく、しぼりたての試飲にあたつては、利き猪口に注ぎながら藏のひとは
「今年も宜しくお願ひします」
大きな笑顔で挨拶をしてくれた。