閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

1194 恰好いいフード

 シグマ製のマイクロフォーサー規格のレンズ…30ミリF2.8 EX DN…が手元にあるのを忘れてゐた。ライカ判にして60ミリ相当の画角だから、ちよつと注意深く眺める(見る、見つめるまではゆかない)程度の感覚だらうか。

 手に入れた時ですら、既に型落ちだつた(發賣は平成廿四年)が、冩りに不満はなかつた。建築を撮るとか、さういふ目的でもない限り、十数年前、ミラーレス一眼用のレンズは完成してゐたのだな。メーカーのひとからは、厭な顔をされさうだけれど。

 ここ暫く見直してゐるパナソニックのGF3に附けてみた。惡くない。が、何となく野暮つたい気がする。どこがどうと説明するのは六つかしい。要は好みに適ふかどうかの話であるらしく、我が親愛なる讀者諸嬢諸氏の御容赦を願ふ。

 思ひついて、がらくた函を引つ繰りかへした。

 さうしたら以前に気紛れで買つた、F-FOTOのフードが見つかつた。丸型でスリット入りの、ライツ社のそれを眞似したやうな姿。但しライツのフードがフックで引つ掛けるのに対し、こつちはねぢ込み式。フヰルタの径がシグマに丁度だつたので、追加してみた。さうしたら中々に恰好いい…と思へた。フードの外径が鏡胴の太さと同じくらゐ、叉フード先端が稍すぼまつてゐて、スマートな感じがする。遮光性に就ては判らないが、フード無しで逆光に悩まされた記憶はないから、気にせずともいいのだらう。それにこの手のアクセサリは、實用性よりスタイリングを好みにしてゆくツールである。さう考へると、我ながらいい物を見つけたなあと思ふ。F-FOTOをねぢ込んだシグマを附けたGF3をぶら下げ、スナップでも何でも撮り、そのまま呑みに行きたいものだ。

 残るのは今の私に、60ミリ相当の画角は少々狭いことで、これ計りはたれにも文句を云へはしない。