『カメラバカにつける薬4』
飯田ともき/インプレス

年に一度の樂み。
カルテ…訂正、漫画を継續して贖ふ習慣を持たない私の、たつたひとつの例外でもある。入手が遅れてしまつたけれど、手元にあるから文句は無い。
デジカメWatchでは毎週の更新ながら、一回の分量が限られてゐる所為だらう、カルテを一冊に纏めるまで、時間が掛かる。今回の収載は令和二年から三年。
「廃絞運動は解放戰線過激派の思想」(謎のお姉さん)
「お金で買えるなんて安い」(患者氏)
「距離(レンジ)が分からないファインダーは、祈り優先AFである!」(ナースさん)
などといつた名言…前後を見ないと、詳らかなところは判るまい…が、鏤められてゐて、大笑ひした。
この巻で特筆したいのは、やうやく“K・刻をこえて 独創篇”が収められたこと。完結はしてゐないけれど、ペンタックス…リコー…Kバヨネット・マウントのファンとしては、まことに喜ばしい。歴史的な時系列を考慮しつつ描くのは(更に単行本化にあたつて、この部分はもとより、かなりの加筆と修整が施されてゐる)、骨の折れる作業にちがひないもの。
もうひとつ。もしかして作者は、こちらの方が好きなのかとも思へる旅行記、“ながさき沈胴中”も収められてゐる。好きだらうと推測するのは、第二カルテのよく出來た旅行記、“この世界の片隅へ”に劣らず、この巻のながさき篇も樂めたから。序でながら、“K・刻をこえて”でも感じたことだが、入念な下調べが作者の通癖…ひよつとしたら樂み…であるらしい。
さて。第二からこのカルテで、単行本としての大体の形式は整つた。聯載の(加筆修正を含めた)再録と、ちよつとしたおまけ。令和九年に纏められる、新たなカルテが、この形式を踏襲するのか、新しい機軸を試すのか、それは判らない。讀者として、樂みに待ちたいと思ふ。