2025-10-01から1ヶ月間の記事一覧
ビーフシチューを初めて食べたのは、千葉県は市川市の洋食屋、平成元年の遅くとも初夏だつた。何故ここまではつきり記憶にあるかと云へば、私はこの年、初めて職に就き、春から初めてひとり暮しをしたからで、かういふ時の初めての経験は、どうも忘れ難いら…
陋屋の近所…歩いて五分も掛からないところに、呑み屋が出來た。定食屋、カレー屋、唐揚げ屋と、お店がくるくる変つた場所なので、開店準備を始めた頃から、大丈夫か知らと思つてゐ゙た。大通りに面してゐるのに、お店が次々入れ替るのは、住宅地にごく近く、…
鯖には料り方が幾つもある。 塩焼き。 味噌煮。 酢〆。 竜田揚げ。 一夜干し。 ごく新鮮ならお刺身。 トルコでは、サンドウィッチにするさうで、きつとうまからうが、我われの鯖料理なら、塩焼きと味噌煮が双璧、両巨頭と断じて、咤られる心配はなからう。 …
漢字のお餅より、ひらがなで、おもちと書く方が、美味しさうな気がする。英語表現なら、omochi で済むことを思へば、日本語のややこしさだねえ。 表記はさて措き…この稿では“おもち”を主とします…、歴史を遡ると、例の如く、曖昧模糊とした時代に辿り着いて…
『荷風随筆集(上)(下)』 永井荷風/編 野口冨士男/岩波文庫 長短織り交ぜ、上下巻あはせて卅余篇が収められてゐる。文語体は歴史的仮名遣ひなのに、口語文は現代仮名遣ひに変換するといふ、莫迦げた…少くとも理解にくるしむ方針の所為で、讀みながら何度も目…
マヨネィーズから派生したソースと云へば、タルタルソースを先頭に挙げて、異論が出る心配はあるまい。 色々に使へる。 チキン南蛮。 海老フライ。 鯵フライ。 牡蠣フライ(私はウスターソースに、微量のチリーソースを隠したのを好むけれど、そこはまあ) 茹…
わかい頃は、五十歳になる自分の姿が、想像出來ませんでした。四十歳を過ぎれば老人。五十を迎へる迄に、この世から離れるとも思つてをりました。念を押しますが、さうあれかしと希んでゐたのではありません。ただ五十といふ年齢は、十分に成熟しきつた大人…
さう云へばここ最近、たぬき蕎麦を啜つてゐない。 陋屋に市販の揚げ玉は常備してあるんだが、そつちは専ら、山形だしや小口葱と一緒に、豆腐に乗せてゐる。酒菜になるのは勿論、おやつ代りにしてもうまい。 その常備してゐる揚げ玉を、乾麺でも茹で麺でもカ…
初めて本山葵を口にしたのは、廿臺前半の大坂、当時勤めてゐた小さな會社の社長に聯れて行つてもらつた、小料理屋でだつた。最初に出たお刺身に添へられてゐたのだ。おろしたのが鮫皮だつたか、おろし金だつたかは覚えてゐない。最初はほのあまく、そこから…
不意に思つただけだから。 おでんとおにぎりを組合せた記憶がない。 串に刺したおでん、おにぎりを二つほど。 惡くない組合せの筈なのに、何故だらう。 そこにカップ酒があれば、午后のしだらない時間との相性が、よささうに思へる。 お箸を使はず、やつつけ…
この“曖昧映画館”で以前、時系列としても公開順としても次作となる「レギオン襲来」を取上げた。この一作目が(相応に)ヒットしたからレギオンにも、その後のイリスにも、登場の機會があつたと思ふと、蔑ろにするわけにはゆかない。 プルトニウム運搬の船が、…
画像は何年も前、友人から贈られたカメラである、棚の隅に置いてあつた。 その名は“カメラくん”…ダイソーが出してゐて、ダイソーが扱つたくらゐだから、勿論デジタルではない。 ライカ判のフヰルムを用ゐ、背面下部中央のノブで巻き上げ、クランクで巻き戻す…
烏賊は美味い。 お刺身が美味いのは勿論、焼いて、炒めて、干して焙つて、フライにして、塩辛に仕立てて美味く、ごはんを詰めて蒸したのも美味い。敬愛してやまない檀一雄は、烏賊の肉も墨も内臓もひと絡げに、オリーヴ油とバタで一気に炒める、プルピートス…
叉、薬の話をする。 改めて私が現時点で服用してゐるのは キャブピリン配合錠 エフィエント錠3.75㎎ ロスバスタチンOD錠5㎎ エナラプリルマレイン酸塩錠5㎎ 以上四種である。いづれも一日一回。ロスバスタチンは二錠、それ以外は一錠。小沼先生がよしとすれ…