閑文字手帖

馬手に盃 弓手に肴

959 實驗

ある晩、ハムカツを摘みに、酎ハイをやつつけた。 ハムカツはウスター・ソースで、衣をとろかすのがうまい。 不意に、そのとろけた衣を、GRⅢで撮つたら、どうなるのか知らと思つた。 實驗である。 撮つた。 成る程。

958 コロッケを

立ち喰ひ蕎麦の種ものは、大体のところ、好きである。 尤も多少の例外はある。 第一にはカレー南ばん(品書きにはかう書かれてゐることが多さうに思ふ)で、カレーとの相性がよいのは、小麦系統の麺ではないだらうか。併しまあ、こつちはかまはない。カレー饂…

957 バランス

肉と野菜はバランスよく食べなくてはいけません。 後から玉葱のフライも追加しました。 なのでバランスの取れたお摘みだつたと思ふです。

956 サブカメラ(後)現實的に

さうは云つたつて、GRⅢと(一応は)サブカメラとしてのGRデジタルⅡの併用は、現實的なのかといふ疑問はある。GRⅢはそのまま、GRデジタルⅡには(ワイド・コンヴァータを附けて)、モノクロームのスクウェアを任す形が想定出來て、この二台をどんな風に持ち出せば…

955 サブカメラ(前)空想的な

サブカメラ、と呼ばれるカメラがある、らしい。 どんなカメラがさうなるのかは、よく判らない。 昔は…と遠くを見ても許される程度に、齢を重ねてゐるのですよ、私は…ライカをメインで使ふひとが、偶に撮る望遠や近接の為に、一眼レフを持つことがあつた。或…

954 解決を望…

長年の疑問がある。 解決してゐない。 「カレー・ライスに適ふ酒精は何か」 といふのがその疑問で、いやそこの貴女、笑はれてはこまります。こちらは大眞面目なんですから。 麦酒。 ハイボール。 葡萄酒。 いづれもしつくりこなかつた。何といふか、一体感に欠…

953 遠ざかる

さういへば長いこと、洋食から遠ざかつてゐる。 ハンバーグ。 クリーム・コロッケ。 チキンカツ。 ポーク・ソテー。 烏賊や白身魚、玉葱のフライ。 ビーフ・シチュー。 サウザンアイランド・ドレッシングをたつぷりかけた生野菜に、マッシュしたポテト、ケチ…

952 失敗

二はいくらゐ、さらつと呑んで、帰らう。 と思つたけれど、結果はお察しください。

951 椒

四川料理ときけば、即座にからいと応じたくなる。 花椒と唐辛子。 麻婆豆腐、回鍋肉、青椒肉絲。 我ながら貧弱と嘆きたい聯想だけれど、我が親愛なる讀者諸嬢諸氏だつて、大して変らないんぢやあなからうか。 もうひとつ、思ふのは冬の食べものの印象なのだ…

950 山門の葷

山門は葷酒が入るのを許さなかつた。 葷は匂ひのきつい野菜…葱や韮、大蒜などの意。 入山が禁じられたのは、曖昧な記憶で云ふと、愛慾を刺戟するとか、そんな理由だつたと思ふ。この場合の愛慾は、性愛に近しい響きを持つ。即ち同性愛。わざわざ入ツテハナラ…

949 令和は平和

今さら云ふのも何だけれど、麦酒はうまい。この時期の陽が落ちる時間帯、恋しくなるのは、一ぱいの冷たい麦酒で、我が親愛なる讀者諸嬢諸氏にも、同意を得られるでせう。 冷たい麦酒を無闇に有難がるのは、我われの習慣であるらしい。常温が当り前の地域だつ…

948 分量

鮪と小鰭に、冷酒を一ぱい。 すなはち、適切な分量。

947 蔭

これでも會社勤めの身である。 ゆゑに日々、通勤をしてゐる。 その路の端には樹が植はつてゐて、その樹々のつくる蔭が何とも快いのが、不思議である。 理窟で云ふなら、ビルの蔭でも電柱の蔭でも、蔭は蔭だから、入つた時の感覚は同等だと思ふ。 併し樹の蔭…

946 黄いろい瓜

胡瓜とは幼少の頃からお馴染みである。 サラドや塩揉み、酢のものにお漬物で食べてきた。 原産地はインド周辺らしい。 胡ノ瓜の字面で、イランの辺りかと思つてゐた。 日本に傳はつたのは平安の頃といふから、この國でも千年前後の歴史を持つてゐる。 正直な…

945 酸つぱい

『檀流クッキング』は、近代日本の文學が世界に誇つていい名著だと私は信じてゐる。美食といへばフランスにイタリー、それから中華圏だらうが、フランスもイタリーも中華圏も、現在に到るまで檀一雄を得てゐない。 だから日本は凄いと話を進めるのは併し間違…

944 不毛

カメラを上から見て、ほぼ眞ん中にある、四角形の部品をアクセサリ・シューと呼ぶ。形状や大きさは、ライカの原型を作つた、オスカー・バルナックが決めたといふ。元はただの嵌め込み坐だつたが、フラッシュの利用に伴ふ接点だの、電気的な諸々のアクセサリ…

943 用心

我がGRⅢには無く、我がGRデジタルⅡに用意されてゐるアクセサリが、テレコンバージョン・レンズである。型番で云へばGT-1…28ミリを40ミリに変換する。リコーのWebサイトで確めたところ、当時の価格は一万五千円。尤も取り附ける為にはフード&アダプター(GH-1)…

942 鰻だけに

夏と鰻が結びついたのは、土用の丑には鰻召しませ(喰ふべしだつたかも知れない)とか何とか、宣伝の結果らしい。おほむね十八世紀頃の江戸の話。当時、夏の土用丑に"う"のつくもの(たとへば瓜や梅干し)を食べるならはしがあつたさうだから、鰻屋が割り込まう…

941 お摘みセット

我がGRⅢにはフードが無い。リコーが用意してゐないのである。フードを附けたければ、アダプタを使つて、サイズが適ふのを探す必要がある。 そのアダプタを、五千円足らずで贖つた。たかがプラスチックの筒…ワイド・コンバータを附ける為の仕組みはあるけれど…

940 うめエ

夏は梅が嬉しい。 尊敬する檀一雄が教へてくれるところに依れば、梅干しは梅を塩で漬けたら出來るといふ。私から見ると、そこには神憑り的な技がありさうに思はれてならない。 某所の某立呑屋で、常聯さんが漬けた梅干しを御馳走になつたことがある。果肉の…

939 補ふ

暑い季節は汗が出ます。 水分と一緒に塩分も、補はなくてはなりません。 だからと云つて、串焼きの塩が、塩分補給に最適な方法かどうかには、疑念の余地が残るのですけれども。

938 氷のあつかひ

或る休みの日、暑さ…熱さと云つても誤りにはなるまい…に負け、近所で"特製 冷し麺"を食べた。冷し中華をラーメン風に仕立て直した感じ、と云へばいいか。ちがふ気もしなくはない。麺料理の分類學は専門外だから、この稿では、下の画像で誤魔化しておく。 う…

937 晝ビア

駄目なものは駄目? 旨いものはうまい!

936 破片

町の隅つこ 夏のかけら

935 夏が來た

七月十五日、土曜日。 曇つてゐたけれど、たいへんに蒸し暑く、詰り外出には不向きな空模様だつたけれど、午后に家を出た。この日と翌十六日は、旧國鐵中野驛の北口から、早稲田通りにかけての一帯で、チャンプルーフェスタが開かれる。 さういふ話をニュー…

934 奔放な聯想の種

思ふにオリンパスのが作つたカメラの最高傑作は、ペンFではなからうか。我がわかい(もしかすると大半の)讀者諸嬢諸氏に念を押すと、ここで云ふのはフヰルム式…ハーフサイズのフォーマットを採用した、レンズ交換が出來る一眼レフの方。私が知る限り、他社で…

933 蕎麦屋の品書きに

蕎麦屋のかつ丼はうまいといふ。蕎麦つゆからの転用がどうかう、そんな理由だつたか。種ものに天麩羅もあるから、揚げるのも不便はないし、確かに説得力はある。尤もかつ丼屋のかつ丼と較べたことがないから、事實かどうか、そこは保留としておく。 ところで…

932 我慢ならない夕方の

生麦酒を呑むことが減つた。廿年前なら、最初の一ぱいは必ず生麦酒の中ジョッキで、三口か五口で干すものだと思つてもゐた。今は壜麦酒。コップ半分ほどに注いだのを、順次干す。樂でいい。我がわかい讀者諸嬢諸氏よ、齢を経るとはかういふことなんです。 併…

931 甘辛

どうも"甘辛"の冠が附いた品書きに私は弱い。鶏肉の甘辛炒めとか、文字だけで旨さうに思へてくる。頭の中では甘辛と旨いが殆ど直結してゐて、我ながら単純である。 併し何が切つ掛けだつたものか。少年の頃、母親が作つてくれた、牛の端肉を炒りつけたのがそ…

930 時と場所と相手

或る仕事帰りの夕方、妙に空腹を覚えた。ふらふら呑みに行つた。我ながら駄目な小父さんだと思ふ。別に何と云ふこともないチェーン店の串焼き屋。だつたらそこでなくてもかまふまい、と云ひたいひともゐるだらうが、こちらにも理由がある。そこの店長氏が埼…